種松山とは 瀬戸内海の島々を眺められる景勝地だが春には夢のような桜が満開となり
梅雨の時期は 色とりどりの紫陽花が種松山を優雅に染め上げるスポットだ
「この種松山の景色を 二人で見る時間
なんて素敵なことなんだろうね紅代」
「景勝地も あなたと一緒だと
第二次世界大戦が激化してきて
元々 身体も強くなくて 兵役対象者から除外されていたはずの 一輝にも、赤紙が届いた
(*イメージ画像)
「紅代 僕は お国のために 戦争へ行ってきます」
涙で目を晴らす 紅代
「きっと 大丈夫だよ
また 帰ったら 祝言あげような」
「離れたくない
せっかく お互い理解して そばにいれると信じていたのに」
出発(たびだち)の朝
紅代は 涙で顔を濡らしながら 一輝を抱きしめ
そして 見送った
一輝は ミャンマーからサイパンと激戦地へ送られたが 身体も弱く 元々 喘息持ち 胃下垂でもあるので 戦闘機に乗っての戦闘は 他の兵士たちがメインで乗って戦っていたようだ
しかし
日本がアメリカに対して劣勢になっている
昭和20年7月終日
一輝は 神風特攻隊に行かされることになってしまう
一輝は
倉敷市種松山の麓に住む 紅代に 文を書いて送った
「そんな
そんなぁ
嘘でしょ 特攻隊だよ
あの人に死ねと言ってるようなもんじゃないの?
ありえない
夢であってほしい」
一輝の手紙を読みながら あふれる涙が止まらない紅代 身体も 悔しさと悲しさで震えていた
気持ちを落ち着かせるため
夜の種松山は幽霊が出るから危険とのことだが
彼女は
種松山へ夜中に訪れた
種松山の主(幽子様)は 仲間の幽霊を引き連れて
ドスの効いた姉御のような口調で こう言った
「おい!若い女子が一人できたぞ 見た目良いし
魂に霊の血液を注ぎ 奴も 我が幽霊一族に加えよう」
幽子様は 幽霊だが 全国100幽霊の中でも幽霊なのに神技が使える 最上級のゴーストなりーー
後ろに控えた幽霊達が 幽子の凄さを謳っているではないか
待って 霊の血液って?!
私を生きたまま幽霊に変えるってこと?!
今 すごく苦境に立たされているので 案外 幽霊達を観ても動じない 紅代だった
なんなら 恋人も特攻隊に行って帰らぬ人となるはずなので 自分も幽霊にされていいと思ったのかもしれない
「YES!幽霊はいいですよ
若さそのままですし
人間に憑依することにより その時代、時代の流れもわかるし。」
「憑依?」
怪訝な表情で 紅代は言った
「夜の間だけ 数時間限り この種松山に来る人間に憑依する力だよ 時代の空気も読めるし 楽しいスキルさ」
紅代は こう言った
「あたし 幽霊になってもいいかも」
すると 幽子は こう言った
「本当に良いのか? なんか 君はここに来た時から
空気が重いんだよ
何か理由でもあるのかい?
大切な理由次第では 幽霊にならなくて
このまま帰ってもいいんよ」
最上級のゴーストの一人 だからか
幽子の意外な包容力に驚く 紅代
紅代は 戦地で特攻隊として
必ず命を落とす任務に行ってしまったことを伝えた
話を聞いていた幽子は情に熱いのか目から大粒の涙を流していた
「可哀想にぃ……
戦争って いつの時代も なんて
愚かなのだろうねえ
人が無駄に血を流すのね
あっしが生きてた 戦国時代から
そう言う意味では全くかわっちょらん」
幽子さん わかってくれたのね
話を聞いてくれてありがとう
「君の話は わかったが 恋人を救うことも あっしの力を持ってなら できるぞよ」
「えっええええ ほんとに??」
目を大きく開いて 不思議そうに 幽子を見つめる紅代
ただし 彼も君も お互いのことは ほぼ忘れる忘れ去られる ほとんどね 僅かに思い出す時もあるかもしれないが……そりゃ死にそうな時だろうな
「それでも それでも いいの
なんとか 彼を助けて」
紅代は 必死で幽霊に嘆願した
了解した
幽子は仲間達と円陣を組んで 盆踊りみたいな舞を舞って
月夜に祈りを捧げた
祈りの最中に 異変が起きたのか?
ぐふっ
幽子は 血を吐いた
「彼は多分 助かる
だが 今
あなたをすぐに幽霊には してあげれない
人間として
彼の記憶を消して
生きてくれ
はぁーーーっ!」
多大なエネルギーを使って幽子は 一輝を助ける術を仕掛けたようだ
紅代は
一輝の記憶も消えて
そのまま下山したようだ
神風特攻隊は
戦艦に機体ごとぶち当たり隊員の命は
無駄にされる
なんて
残酷な戦争だったんだろか
一輝も 戦艦に機体ごと突撃していたが
「おかしい
敵戦艦がいない
あれ?
桜の舞う
変な扉に
この機体ごと 吸い込まれるゥ」
特攻隊として戦艦に突撃していたはずの一輝は
本当に助かるのか?
お互いの存在 という 大切な 記憶を失った
紅代は 再び 一輝と出会うことはできるのか??
後編に続く



























