「今日、世界が終わるらしいよ」
君がそう言ったことに、僕は別段驚かなかった。
「君がそう言うんなら、そうなんだろうね」
僕がそう言ったことに、君は別段驚かなかった。
「じゃあ多分、そうなんだろうね」
君がそう言ったから、
「それなら、今日をたくさん楽しもうか」
僕がそう言った。
ゲームセンターに行った。
綺麗な服を買った。
唐揚げをたらふく食べた。
新幹線で遠くに出かけた。
海に入った。
山に登った。
バカみたいに笑った。
落ちる夕日を見ながら僕は言った。
「本当に世界が終わってしまえばいいのにね」
僕がそう言ったから君は言った。
「わかった。任せて」
空を見上げると、世界の終わりはそこに来ていた。