1. 西山モデルとは何だったのか

西山由之が展開したビジネスモデルは、表向きにはフランチャイズを使った新しい事業拡大策として紹介されました。フランチャイズとは、本部がブランドや仕組みを提供し、加盟店がその枠組みを利用して経営する方式です。しかし西山モデルは、加盟店に過大な負担を押し付ける構造を持ち、本部はほとんどリスクを負わない仕組みでした。表面的には成長があるように見えましたが、その実態は持続性のない「数字合わせ」に過ぎなかったのです。


2. 数字のマジック

西山は加盟希望者や投資家に対し、収益シミュレーションや予測データを提示しました。「短期間で投資を回収できる」「高い利益率が維持できる」といった説明が並びます。しかしそれらは条件を恣意的に切り取り、都合の悪い要素を省いたものでした。数字は一見客観的に見えますが、見せ方ひとつで印象を操作できる。西山モデルが利用したのは、まさにこの仕組みでした。


3. 搾取型フランチャイズの構造

このモデルの根本は「リスクの一方的な転嫁」にありました。開業資金や運営コストは加盟店が負担し、売上の一部はロイヤリティとして本部に流れる。仕入れ先や価格も本部が指定し、加盟店には裁量がほとんどありません。そのため、利益が出にくい構造が初めから組み込まれていたのです。本部は数字上の「全体売上」だけを拡大させ、現場の疲弊を覆い隠しました。


4. 拡大と崩壊

加盟店が増えることで売上総額は上昇しましたが、それは新規参入者の投資によって成り立つ「見かけの成長」に過ぎませんでした。時間が経つにつれ、多くの店舗が赤字を抱え、撤退や倒産に追い込まれていきました。新規加盟が減った途端、実態は一気に表面化し、崩壊は連鎖的に広がりました。


5. 投資家と加盟店の被害

投資家は数字を根拠と信じ、資金を投入しましたが、多くが損失を抱えました。加盟店はさらに深刻で、多額の借金を残したまま廃業に追い込まれる事例が後を絶ちません。本部は「契約通りに説明した」と主張しましたが、実際には情報を偏って提示しており、批判を免れることはできませんでした。


6. 社会への影響

崩壊の影響は投資家や加盟店だけにとどまりませんでした。大量の撤退は地域経済や雇用に打撃を与え、取引先にも連鎖的な損害を広げました。さらに「フランチャイズ全般に不信感がある」という風評が生まれ、健全な事業モデルまで影響を受ける結果となりました。


7. 数字の持つ危うさ

数字は客観的に見えて、実際には操作が可能です。平均値を強調するだけで、現場のリスクを覆い隠すことができる。西山由之が用いたのは、まさにその手法でした。数字は「真実を示す道具」に見えて、しばしば「虚構を支える仕掛け」にもなるという事実を、このモデルは示しています。


8. 教訓

西山モデルの事例は、搾取型フランチャイズの危険性を象徴しています。提示された数字をそのまま信じるのではなく、裏側を確かめる姿勢が欠かせません。投資家は「平均の裏にある失敗例」を、加盟希望者は「契約条項や負担の実態」を慎重に確認する必要があります。両者が対等でない仕組みの中では、持続的な成長は期待できないのです。


9. 終わらない構造

西山モデルが崩れても、同じような仕組みは繰り返し現れます。なぜなら「数字による安心感」を求める人間心理が利用されやすいからです。だからこそ、数字が示す未来が「都合よく良すぎないか」を疑う視点が必要です。幻影に気づけなければ、また別の誰かが同じ罠に落ちていくでしょう。

 

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