臨床にいて、ふといつも心に浮かんでいた言葉がある。
ブラック・ジャックの恩師の本間先生が言った、「人間が、生き物の生き死にを決めようだなんて、おこがましいとは思わんかね」。
ブラック・ジャックは、「それじゃあ…医者は、何のためにいるんだ!」と、苦悩しながら自分自身に問いかけるのだけど。
歳を重ねるごとに、この言葉はなんて深くて重いのだろうかと思う。
どれだけ一所懸命に治療しても、かなわないことがある。
死を必死で回避する努力は、おこがましいのかもしれないけど、それでもBJはオペをする。治療をする。
ブラック・ジャックは、本間先生のこの問いかけと、BJの、それへの答え(医者はなんのためにいるか)の模索で構成されている気がする。