それっぽい、それっぽいとは思いながら、見て見ぬふりしてきたんだけど。
四年目あたりから、燃え尽き症候群ぽかった気がする。
患者さんのために、とか、看護師としてどうあるべきか、とか、そんなん重要視しすぎてね。
四年目あたりから、頑張っても頑張っても報われない感じ、同僚に対する不平不満、すごかったし。
それでね、転勤して、さらに新しい環境に適応するのも、適応できたけどさ、無理してしんどくてさ、仕事行くのも嫌になって。
最後の最後で、病院に、有休も使わせません、あなたは自分勝手、って、言われて。
こんなに公私関係なくやってきたのに……。
どうして、楽してた同僚は、手を抜きながら産休育休育児短期休業取れて、私だけ、こんな、有休もとれず、自分勝手と言われて、使い捨て……?
努力が、報われない……。

努力が最後まで報われなかったことに対する徒労感が凄い。
何をしても無意味。っていう、無気力感に取り憑かれてる。
こんなに仕事を頑張ってしまった私が馬鹿なんです。
何にも残りはしなかったのに。
私は5年間、何をやってきたのだろうね。
看護師だから、命を預かっているから。
人の人生の大事な局面に関わる仕事だから。
いつだって全力だった。


そんな私に会社は「自分勝手」と言った。
辞めるのに「有休は1日も取らせない」と言った。
退職の日、看護副部長は私を無視した。
目に入っていたのに、一言も言葉をかけはしなかった。
夜勤明けなのに、師長は私を3時間も待たせた。
最後の最後まで、1日も有休をくれはしなかった。
最後まで、私は夜勤をした。

妊娠をしているのに、夜勤免除は難しかった。
病院にとって、ただの使い捨てだった、私は。
それが露骨すぎてつらい。
みんなみたいに、上手に病院を利用できたら良かったのにね。
昔から不器用なんです。



仕事がなくなってしまって、正直、ほっとした。
でも、この虚無感からなかなか立ち直れない。
ワーカーホリックだなあ、我ながら。

家事もサボって旦那さんに迷惑ばかりかけてる。
赤ちゃんにも、ちゃんといいことしてあげれてない。
ごめんなさい。
ごめんね。

立ち直らなきゃ…。
生きる意味、見つけないと。

最終日に、患者さんに、あなたのオムツ交換はいつも手品みたいね、すぐ終わるわ、って言われたのが、嬉しかった。
いつだって、私は、会社なんかのためじゃなく、患者さんのために働いてきたんだ。
それが私の誇りだった。
いつだって、私の頑張りを認めてくれたのは患者さんだった。
あなたが夜の担当だと、安心してよく眠れるの。
その一言が嬉しかった。
患者さんはいつも、少しの間だけでいなくなってしまう。
残った会社は、利益や回転率、勉強会、ばかり追求して、患者さんのことなんて考えやしない。
私のようなスタッフのことも駒としか思っていない。
耐えられなくなってしまった。
私も、そんな扱いを受け続けていたら、患者さんに対して真摯になれていないのが分かったから。

日本の医療界はどうにかならないのかな。
この、ブラックな職場環境は、改善できないのだろうか。
妊婦でも力仕事なんて当たり前だし、当然のように夜勤免除を断わられる。
夜勤は身体がボロボロになるのに、1回数千円の手当てしか出なかった。
人がいないを理由に、風邪を引いても休めない。

つらいなあ。
苦しいなあ。

まだこんなに看護が好きなのに、続けられなかったことが、つらくて苦しくて、かなしい。

もう少し病院が患者さんのことを真摯に考えたら、全てが変わったのだと思うのだけど。