最新の記事一覧 月別記事一覧 テーマ別記事一覧老いの身に静かに難聴進みをり右に左に受話器を移す夕飯にビール飲もうと冷蔵庫ドアをあければ本が冷えおり自分の身内なら どう思う??物すべて右手近くに片マヒの妻の左にいつも我あり昼と夜 違へる姑に 点灯の紐「ごめんね」と短く切りぬいつまでも母でありたし子の病めるベッドをわれの聖域として「やったー!」と聞こえる声はトイレから本人ではなく介護職車椅子より身を乗り出して服選ぶ 女の目なり 卒寿の母はふりそそぐ春の光を袋に詰め病床の母へふりかけやりたし楽しいよ 施設の方がと涙目で 強がりをいう母へごめんね我が服を掴み離れず居りし子が 今病む我の背 摩り呉るる病む夫に 習いし将棋 今日も負け 安堵す介護者なれば朝おきて私はだあれあなたは?と問ひて始まる老老介護新入りの介護士おっとり物を言ふ病持つ身に心地良きなり車椅子いつも紳士の吾が夫(つま)よその手伸ばして抱きしめて欲しいいつの日か逆の立場になった時してほしい事を今してあげる病む夫の頭のネジはじわじわとゆるみて時に仏の顏に入院のやっと承諾せし母をどの病院も受けてはくれず介護士の口も大きく開きたり 粥一匙を 夫は飲み込む手をつなぎ「夕やけこやけ」を歌う時母には五歳の吾がいるらしい<< 前ページ次ページ >>