三年前、オカンは大腸癌になった。
「リンパ節まで癌細胞が達してしいて余命が三カ月?
かそこら言うとったわ」
母親と初めて会ってこんなん言われて、
「神様が最後にHくんに会わせてくれたんじゃね」
泣けるでしょ?
実際泣いたし、悔しさで帰りの車の道中、
恨み節を連発し、可能な限り暴れてサイドガラスにヒビ
を入れてしまった。
それが三年前。
オカンは生きている。
肝臓、胃、肺、乳房と癌細胞は予想通り転移した。
オカンの体で癌細胞はこれでもかと猛威を奮った。
オマエら猛威を本当に奮ったのか?
オカンは見た目も全く変わらない。
今年のある日、オカンは俺に電話で猛抗議をしてきた。
その声の力強さに俺は危うく気持ちが圧倒されそうになった。
怒声にはその倍の怒声を。即座に意識を切り替えた。
俺の声も怒声を上げた時は相当野太いのを自覚しているので
オカンの怒声の調度2倍程度になるようセーブした。
オカンの怒声を帯びた抗議の内容一つ一つに怒声を
塗して言い返してあげた。
ガチャ切りされた。
一体俺らは何をやっているのだろう?何を揉めているのだろう?
オカンの勝手ないいがかりだ。
俺は楽しんでいるふしがある。
斉藤一人さんの言葉
「この世で最大にして、そして一番「大事」な敵は母親である。」
このハードルを乗り切る過程を楽しんでいる。
世の多くの方は母親とここまで対峙することはないので、
貴重な困難と言える。
口元の角を一センチあげること。悪口を言わない(汚い言葉を使わない)。身だしなみをきれいにすること。他人と自分を比較しないこと。