映画「子どもたちをよろしく」を見ました。

(制作意図)
オリンピック、カジノ、万博…世の中が浮足立つなかで、子どもを巡る事件が、毎日のように報じられるが、子どもたちの世界に目が向けられることは少ない。いじめに苦しみ、そのために死を選んでしまう少年、性的虐待を受け自らを「汚れた存在」と思い込んでしまい風俗産業に身を沈める少女、そんな彼らに、われわれ大人は手を差し伸べることができるのか。
アルコール依存、ギャンブル依存、対人依存、同調圧力など大人社会にはびこる闇こそが問題の源なのではないのか。
その問いかけを、観客の皆さんに投げかけたい。それがこの映画を作った一番の狙いだ。映画の中の子どもたちは、悩み、苦しみ、他人を追い詰め、自分を追い詰めていく。子どもたちの心の中の闇の叫びがあなたの胸に届くだろうか。
文部科学省で長らく日本の子どもたちの実態と向き合ってきた企画・統括プロデューサーの寺脇研、企画の前川喜平、二人の願いであり、それを映画という形に仕上げた脚本・監督の隅田靖だ。(公式サイトから引用)

(あらすじ)
北関東のとある街。デリヘルで働く優樹菜(鎌滝えり)は、実の母親・妙子(有森也実)と義父・辰郎(村上淳)そして、辰郎の連れ子・稔(杉田雷麟)の四人家族。辰郎は酒に酔うと、妙子と稔には暴力、血の繋がらない優樹菜には性暴力を繰り返した。母の妙子は、なす術なく見てみぬふり。義弟の稔は父と母に不満を感じながら優樹菜に淡い想いを抱いていた。
優樹菜が働くデリヘルで運転手をする貞夫(川瀬陽太)は、妻に逃げられ重度のギャンブル依存症。一人息子・洋一(椿三期)をほったらかし帰宅するのはいつも深夜。洋一は暗く狭い部屋の中、帰ることのない母を待ち続けていた。
稔と洋一は、同じ学校に通う中学二年生。もとは仲の良い二人だったが、洋一は稔たちのグループからいじめの標的にされていた。ある日、稔は家の中で、デリヘルの名刺を拾う。姉の仕事に疑問を抱いた稔は、自分も洋一と同じ、いじめられる側になってしまうのではないかと一人怯えるようになる。
稔と洋一、そして優樹菜。家族ナシ。友だちナシ。家ナシ。居場所をなくした彼らがとった行動は。(公式サイトから引用)

(感想)
胸がいたくなった。最近、貧困格差の本を何冊か読んでいるが、アルコール依存症、ギャンブル依存症これらは、私自身が若い時に当事者として被害を被ったので、見ていて辛くなった。
西日本に住む者には、北関東の事情が分からないが、本で読む限り、この映画は非常にリアルだと思えた。
いろんなことを考えさせられる作品だが、一つ言えることは、この国のセーフティーネットが非常に貧弱ということだ。新自由主義の弊害であり政治の責任とも言える。
見てよかった。万引き家族どころの話でない。現実を心して見てほしい。