安倍総理の気持ちが動いた!共同親権について(平成31年2月25日衆議院予算委員会)

及び
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 動物に優しい国は恐らく人間にも優しいと思います。
また、動物に優しくなければ人間にも優しくない
と思っているんですが、
次に、子供のことについてお聞きをしたいと思います。

 パネルの二枚目をお示しいたします。

 これは子どもの権利条約、最近、しつけということで
子どもの権利条約についてはよく議論をされているわけですけれども、
この権利条約に関しては、
日本は一九九四年に締結をしています。
そして、これに賛同している国は百九十六カ国。
今、世界で何カ国あるかといったら二百弱ですから、
ほぼ全ての国がこの条約に賛同していると言っても過言ではありません。

 その中で、きょうは四つの条文を抜粋をさせていただきました。
条文の中でもこれは抜粋しているんですが、
まず、四条は、この条約を立法措置、行政措置をしましょう、これは当たり前のことです。
条約を締結した以上は、国内でその法律をちゃんと整備しましょう。

 その中で、きょうは七条と十八条を挙げさせていただきましたが、これによると、
児童は父母によって養育をされる、七条ですね。
十八条は、児童の養育及び発達は父母が共同の責任を持つということになっているわけです。
これを各国はちゃんと一生懸命守っている。

 今度、パネルの三枚目を見ていただきたいんですが、
では、共同で養育をするということはどういうことかといったときに、
これは共同親権ということになります。
婚姻中、これは日本も共同で親権を持つ、養護するということになるんですが、
離婚後、これは
G7のうち日本以外は共同親権なんですね。
変わらないんです。
ところが、日本だけは単独親権になってしまっているんです。

 これは実は、
G7のうち日本以外と書いてありますけれども、
ほとんどの国というふうに書こうと思ったら、
ほとんどの国というのは曖昧だと言われたので
G7以外と言ったんですが、
何でこれをほとんどの国と言えるかといえば、
先ほどの子どもの権利条約にも書かれているように、
共同で養育をするということを百九十六カ国の国が賛同しているということなんです。
共同親権になるというのが、
この条約を締結している国としては当たり前なんですよ。
ということは、これを、違う、単独親権の国を探すということは、
条約を締結をしていない国を探すか、
条約を締結しているにもかかわらず約束を守っていない国を探すしかないんです。
そうすると、これをごらんいただきますように、
日本は約束を守っていないと言わざるを得ません。

 前回の予算委員会において、これがどういう問題かということで、
大岡裁きという例を挙げさせていただきました。
一人の子供を、自分が親だと言ってやってきたので、
大岡越前が両方から手を引っ張らせる。
そうすると、子供は痛いと言ったところ、
片方の親が手を離す。
片方の親がやったといって連れ去ろうとしたら、
大岡越前が、子供が痛いと言って手を離した方が親なんだよ。
今、日本は、手を引っ張っていく方が優先されるという制度だという話をさせていただいたんですが、ここは一つつけ加えなければいけないことがあるんです。

 確かに、子供が痛いと言って、手を離したのも親心です。
では、大岡越前のときには、引っ張っていった方は悪者のように書かれているんですけれども、そうじゃないと思うんですよ。
どんなに子供が泣き叫ぼうとも、痛がろうとも、この子供をやはり幸せにできるのは自分しかいないと思って、涙を流しながら手を引っ張っている親も親心だと思うんです。

 要は、子供を両方から親心で引っ張っていって、一番苦しむのは誰ですか、子供ですよ、
だから、こんな争いをするのはやめましょうといって、
子どもの権利条約では共同で養育をする。
どちらか一方を決める、そういう争いをやめようというのが子どもの権利条約じゃないんですか。

 法務大臣、どうしてこれは、日本は単独親権になっているんでしょうか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 児童の権利条約の条文の解釈につきましては所管外ということではあるんですが、
ただ、我々としては、
児童の権利条約の趣旨に沿って
国内法を定義あるいは運用しているというふうに考えております。

 そして、まず、我が国における、
離婚後は単独親権にしているという理由についてお伝えいたしますと、
まずは、親権には特別な意味が民法上ございまして、
民法上、子の監護や教育に関する意思決定をしなければならない、あるいは
財産管理の権限、あるいは
居所を定める権限というものを親権者が定めるということになっております。

 こういった事柄というのは、
適時適切な権限の行使、これが必要なものが含まれているわけでございますが、
父母が離婚して共同生活を送っていない場合には、
父母間で意思疎通をうまく図れずに、
結局、意思決定ができないような状態、
適時適切な親権の行使が難しいということもあると考えられます。
特に父母間の感情的な対立が根深い場合のように、
そもそも夫婦が協力して親権を行使することを期待することができないということもございます。

 そういったことから、単独親権ということに離婚後はなっておるわけでございますが、
現行法におきましても、
平成二十三年の改正の際に、
父母が協議上の離婚をするときには、
子の監護をすべき者、あるいは
面会その他の交流、
子の監護に要する費用の分担
その他子の監護について必要な事項
協議で定める
子の利益を最も優先して考慮する、あるいは、
協議が調わないときには
家庭裁判所がこれを定めるというような形で、
子の、児童の利益、それをしっかりと図っているというところでございます。

串田委員 毎回、その理由を聞いて本当に情けなく思いますよ。
感情的になって話合いができない。
ほかの国はやっているじゃないですか。
日本だけが感情的な国民なんですか。
私は、そういう説明を受けるたびにとても残念でなりません。

 そして、今月の七日ですか、
国連の子どもの権利委員会から勧告がなされました。
前回の予算委員会で河野大臣から、これの訳を言っていただきました。
一字一句、私の方も書き写したので、要約しますと、
共同親権を認めるため法令を改正しなさい、こういう勧告ですよ。

 河野大臣、
現在、日本は、この子どもの権利条約に違反している国ですか、どうですか。

河野国務大臣 この児童の権利条約は、
児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則
についての認識
を確保するよう
締約国が最善の努力を払うこと
を規定したものにすぎず、
離婚後の共同親権制度の導入について、明文の規定は存在しません。

串田委員 昨年は、
EU二十六カ国から当時の上川大臣に対して抗議の文が出され、
そして今回は、
国連から子どもの権利委員会によって勧告が出され、
にもかかわらず、
河野外務大臣のように、
自分たちの国はこの条約に違反していないんだ、こう言い張っている。
私は、とてもこれは悲しいことだと思います。

 そして、その理由としては、感情的だから話ができない。
全ての国がやっているんですよ。
何で日本だけができないんですか。
本当にそれは悲しいと思います。

 そして、先ほど、子供を両方から引っ張り合うということはどういうことかといいますと、
これはお母さんが多いんですけれども、
引っ張っていった側がどういうことをそれからするかというと、
子供に対して、
あなたの父親はとんでもない人なんだよ
というのを言い続けるんですよ。

 何でそうかといいますと、これは一人を決めることですから、
その後、父親から家庭裁判所に対して親権者の確定の申立てを受けたときには、
家庭裁判所から調査官がやってきます。
調査官が子供の今の環境を見たりしますけれども、
子供の意思確認というのも非常に重要視しているんですよ。

 そのときに、子供が、いや、お父さんのところに帰りたいよと言われたらば、
連れてきたお母さんは、その子供を帰さなきゃいけない、
そういう危機感があるので、
一生懸命、その子供に対して、
あなたの父親はひどい男なんだ、
私にもひどいことをしたんだ
と言い続けて、
誰か来たときには
怖いから行きたくない
と言うんだよ、こういうことをやらざるを得なくなっちゃう。

 それは、やっている方のお母さんが私は悪いと思わないんです。
この国が、どちらか一方を決めるという、
各国はちゃんと共同親権にしているのに、
この国だけが単独親権であり、単独監護であるから、
これは戦いなんですよ、
お父さんとお母さんの。
だから、そういうことをやり続けなければならないんです。

 それで、これをやられた子供はどうなるのかといいますと、
心的障害を受けるということはWHOでも証明されていますし、あるいは、
そうやってお母さんからそういうふうに言われている子供が、
もしかしたらお父さん似の顔をしていたかもしれない。
そのときに、鏡を見ながら、ずっと悪く言われているお父さんに似てくるということの気持ちというものも私は考えていただきたいと思うんです。

 そして、このお父さん、子供に会えなくなる。
なぜならば、連れていかれたときに、お父さんのところに会わせると親権がとられるかもしれないから、
お母さんとしてはやはり子供をかくまってしまうんです。
子供に会えない父親の自殺率は高いと言われています

 そして、お父さん、お母さんだけじゃないんです。
おじいちゃん、おばあちゃんからも孫を奪うんですよ。
共同親権、共同監護であれば、お父さん、お母さんのおじいちゃん、おばあちゃん、こちらのおじいちゃん、おばあちゃんと、
優しく育てられている。
ところが、どちらか一方、
そして片方に行くと親権がとられるから絶対に会わせない
こういうようなことになったときには、かわいい孫にもおじいちゃん、おばあちゃんが会えなくなるんです。

 そして、会わせたくても会わせられない、奪われたくないというお母さんは母子家庭になってしまいます。
そうすると、生活的にも大変になりますよ。
お父さんとしては、養育費といっても子供に会えない養育費ですから、それは非常に不満になってしまいます。

 もし共同養育であれば、それは養育費以上のお金を払おうとするでしょうし、
おじいちゃん、おばあちゃんにしたって、
それは、ランドセルを買ってあげるとか、あるいは
塾の費用を、買ってあげるとか、
そういうような援助もしてあげられるんです。
母子家庭であれば、その生活を支えるのは税金ですよ。
何にもいいことないじゃないですか。

 安倍総理、こういうような状況の中で、今、率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。

野田委員長 その前に、法務大臣から。

 短くお願いしますね。

山下国務大臣 前提としてお答えいたします。

 今御指摘があったのは、
面会交流、子供と会える権利と、それと
親権、あるいは
居所であるとかそういった教育、監護を決める権利、
これは整理して考える必要があると考えます。

 親権については、確かに、どちらかに決めなければならないということなので、
居所であるとか教育、監護であるとかそういったものは単独親権という、
そういった立法理由があるということを御説明申し上げました。

 他方で、会える会えないの面会交流の権利につきましては、
例えば、先ほど御紹介いたしましたとおり、
平成二十三年の民法改正におきまして、
そういった協議の際に、明示的に、
面会及びその他の交流あるいは
監護に要する費用の分担
というのを、
必要な事項を協議離婚の際に協議で定める、
協議が調わなければ裁判所が定める
というふうに明文の民法で記載している
ということを、まずは御指摘させていただきたいと考えております。

串田委員 後でまたもう一つ、最後に質問させていただきますけれども。

 実は、外国も非常に苦労しているんです。
アメリカも、カリフォルニアから始まりました。そして、そのときにやはり単独だったんですよ。
それが、一九七九年、ジェームズ・クックという人、共同監護の父と呼ばれているんですが、共同監護法というのを成立しまして、今、五十州でそれが適用されています。

 ドイツも、実は単独親権だったんです。ところが、
一九八二年に連邦憲法裁判所が違憲の判決をしたものだから、国の中で共同親権へと法整備をしていった。どこの国も苦労しているんです。

 それは、だって、別れるという状況で円満に話をするということはなかなか難しい。
だけれども、子供の権利として、子供はどちらが幸せなのかということで、
世界が知恵を出し合ってつくったのが子どもの権利条約じゃないですか。
だから、日本もこれを批准したんじゃないですか。

 私は、私の考えを押しつけようと思っているわけじゃないんです。
世界がやっているからまねしようと言っているわけじゃないんです。
日本自身が、一九九四年にこの条約を締結し、それを守っていないということで、国連から再三勧告を受けているじゃないですか。
これを守るというのは、国の責務として必要だと私は思います。

 そして、昨年、ハーグ条約の不履行国と認定されました。
これは、子の連れ去りについて、
ほかの国から日本に連れ去る
ということなんですけれども、
どうしてそういったようなことが横行するかといえば、
日本は連れ去りが一番有効な手段だというふうなことで、外国からも連れ去られていく。
そして、それを、アメリカは日本を非難しました。
不履行国という非難ですよ。
このときの単語はアブダクションですよ。
これは拉致じゃないですか。
拉致の常習国という認定をアメリカからされたのと同じなんですよ。

 こういうような意味で、先ほど外務大臣は条約に反していないと言いましたけれども、
それは、
国が反しているかどうかということではないんです。
アメリカとしては反していると思っている。
ヨーロッパとしては反していると思っている。
これは、謙虚にこういったようなことを見習っていく必要が私はあると思うんです。

 これは、安倍政権を批判しているわけじゃないんです。
この条約を締結したのは一九九四年、連立内閣のときだったんですよ。
自公政権もできなかったんです。
民主党政権もできなかったんです。
なぜかといったら、すごく大変な作業なんです。

 これは、連れ去りをすれば処分を、刑事罰をしなきゃいけない。
だけれども、一方で、DV被害者も守っていかなきゃいけないんです。
それを、一生懸命、国が知恵を出し合って、ほかの国はやっているんだけれども、
日本は現場に丸投げ。
だから、現状維持になってしまうので、
連れ去りが横行してしまうんです。
連れ去りが一番有効な手段になってしまうんです。

 安倍総理、どうでしょう。
今、この日本を支える若者が、どういう若者がいいのか、考えていただきたいんです。
一方では、
いろんな事情で別れ離れになっても双方の親から養育を受ける、そういう子供がこの日本を支える方がいいのか、
それとも、
あなたの父親は悪い男なんだよ、そういうふうにして、実の親を憎むような子供が大きくなってこの日本を支えた方がいいのか。

 安倍総理、この条約を締結した以上は、
決断、国民が見ている前ではっきりと、
この条約を遵守するような法改正へと進む
ということを明言していただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この日本が条約上の義務を果たしているか、遵守しているかどうかということについては河野大臣からお答えをさせていただきましたし、また、
政府の立場については山下法務大臣から答弁をさせていただき、
親権とは別に、
親の面会、そういう権利についてはそうした対応をしているということは答弁させていただきました。

 一方、今、串田議員のお話を聞いていて、聞いていると、
なるほど、もっともだなという気もしてくるわけでございまして、
子供としては、やはり
お父さんにも会いたいしお母さんにも会いたい、
お母さんにも会いたいしお父さんにも会いたい
という、それはそういう気持ちなんだろうなということは、よく私も理解できます。

 この問題については、国会の議論の状況等も踏まえまして、
きょうもそうした議論がございましたが、
民法を所管する法務省において引き続き検討をさせたいと思います。

串田委員 安倍総理もいろいろ悩みがあるかと思いますので、ぜひとも我が党の未来共創ラボに入会をしていただきます。そうすれば、隣の浦野議員が心温まる返答をされると思います。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 時間になりましたので、私の質問を終わります。ありがとうございます。