2019年3月22日衆議院法務委員会 連れ去り容認は葛藤を生み犯罪をつくる

及び
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串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 今回の法案は判事が四十人ふえるということなんですが、
この中で、憲法を守るということを約束してくれている裁判官というのは何人いるんでしょうか。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今回増員をお願いしております分の裁判官を含めまして、
裁判官はいずれも憲法に従って職責を果たしているものと承知しております。

串田委員 国民は、そう思っていない人は結構多いんですね。

 例えば、私、予算委員会でも質問させていただきましたが、
面会権というのがありまして、審判で裁判官は判断するんですが、
非常に良好な夫婦の中で、審判は、月に一回二時間、面会時間ですよ、月に一回二時間という裁判官が非常に実は多いんです。
この件は、きょう時間が少ないですから、また後日やりますけれども。

 裁判官は、憲法九十八条二項によって条約を誠実に遵守しなきゃいけないと、これは九十九条に示されています。
そして、
子どもの権利条約によると、共同して養育をするという条約を
日本は一九九四年に締結しているわけですよ、批准しているわけです。

 そうだとした場合、
共同で養育をするということを、審判を決定するときにもこれはしんしゃくしていかなきゃいけないんじゃないかと私は思っているんです。
九十八条二項に「誠実に遵守する」と書いてあるわけですから。
条約と法律は、法律の方が上なんでしょうか。
あるいは、勝手に判断していいんでしょうか。

 大臣、
法律の審判を決定するに当たって、
批准をした条約をしんしゃくする必要があるのかどうか、そして、これは
面会に関しても十分配慮しなければいけないのかどうか、
御答弁をいただきたいと思います。

山下国務大臣 お答えいたします。

 憲法九十八条二項によって、
我が国が締結した条約及び
確立した国際法規、
これらを誠実に遵守する義務というのが記載されております。
また、
憲法の尊重義務というのも九十九条等に記載されているところでございます。

 そういったところで、一般的にはそうではございますが、
では、個別の条約においてどのような規範が定立され、あるいは、
この条約はどのような義務づけをしておるのか
ということに関しましては、
これは国際法規を所管する外務省にも確認しなければならないところでございますが、
一般論として申し上げて、
個々の司法権の判断におきましては、
そういった
一般的な憲法の尊重義務、あるいは、
確立された国際法規や
締結した条約
についてを
誠実に遵守しているということで判断されている状況
であろうと考えております。

串田委員 これは、一つ、先ほどずっと試験の問題がありましたが、
裁判官の司法試験の中に条約の問題が出ない、
司法研修所においても個々の条約の指導がない。
ですから、裁判官が、法律とひもづけられた条約の認識が全然ないんだと思います。

 ことしの二月に、
国連の子どもの権利委員会からの勧告の中に、
裁判官はもっと研修を受けさせるべきだと書いてあるわけです。
条約締結された場合には、
自分が今携わっている法律の解釈も、条約に従って非常に考慮しなきゃいけないという
教育あるいは研修をするというのは当たり前だと思うんですよ。
何のために九十八条二項があるんですか。
条約を遵守しろと書いてあるのに、
現場は全くその条約を無視している。
これは憲法違反だと私は思いますよ。この件に関しては後日また触れたいと思います。

 また、ちょっと別の件なんですけれども、ニュースの中で、
裁判官が非常に、そういう意味で、
憲法の問題、
憲法の体制、
特に反天皇制というものをペンネームでずっと書き続けている、あるいは、
自衛隊の派遣に関するデモに参加した上に、実名でそこで発言をしている
というのが報道されました。

 私は、普通の国民であれば、これは自由ですよ。
思想、良心の自由、表現の自由。
自由だと思うけれども、
裁判官は、裁判所法五十二条によって、
積極的な政治活動はできないと書いてある。
デモに参加して発言をする、あるいは
反天皇制をずっと別のペンネームで書き続ける、これは十年間ぐらいやられているという報道がありました。

 こういうことがあると、例えばその裁判官は家裁の裁判官らしいんですが、
片方は、自分と同じデモに参加した人あるいは共鳴している人、
片方はそうでない人
という場合には、やはり公平性は守られていないんじゃないかという国民の心配があるから、
この裁判所法が決められていると思うんです。

 こういうようなことに関して、今、そういうようなチェックをしているのか、
どういうふうにこれについては対応されようとしているのか、
お聞きしたいと思います。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘の新聞報道の件に関しましては、
裁判官の私生活上の自由や思想、表現の自由にも配慮しつつ、
慎重に調査をしているところでございます。

 現時点では、新聞記事の対象となったと考えられます裁判官からの事情聴取等を行いましたものの、
本人は新聞記事に記載された事実関係を否定しておりまして、
服務規律違反の事実があったことは確認できていないというところでございます。

串田委員 はっきりと、いろいろとビデオも残っているでしょうし、
そういう否定をされたからといってそのままにするのではなくて、
やはりこれは、司法への信頼ということでありますので、
どういう考え方であるかは別にしても、
積極的な政治活動にやはり参加するということは、
裁判官としては適切ではないし、みずからそれを承諾して裁判官の職を選んだ以上は、
やはりこれは法律を遵守していただかなければいけないと思うので、
これは、やはり厳正な審査あるいは調査というものを続けていただきたいと思います。

 もう一つ、これは別の委員からもありました、
東京家庭裁判所の事件がありました。
これは、今、審議をされているところでありますので、もう全く、この問題であるということとは関係がありません。
ただ、私、入管法でも質問しているんです、この件に。
そして通告でも、それに近いものを通告しているので、
それとは関係ないんだけれども、事情がよく似ているので、
ちょっと一般論として質問させていただきたいんです。

 アメリカでは、
両親にいる子供を片方が連れ去った場合は、
これは、拉致だとか誘拐ということで刑事犯罪になるという州が多いですよ。
そしてそれは、全世界的にそういう扱い方になっていますね。
それで、アメリカの国内で連れ去られた場合には、
連れ去った人間は
犯罪人として容疑扱いされるから、
すぐにそれは国家が守ってくれて、戻すというような体制になっている。

 ところが、それがほかの国に連れ去られた場合には、
自分の国の法律は適用できないので、
ほかの国にも、この考え方というものはみんな納得しているので、
みんなで条約を締結しているのがハーグ条約ですよ。
日本は戻さないから、このハーグ条約の不履行国として今認定されているというのは御存じのとおりなんです。

 問題は、国内にいるアメリカ人と日本人が結婚して子供がいた場合です。
この場合に、どういう扱いになるかなんて、事前に勉強もしていませんし、調査もしていません。
そんなことが訪れるとは思っていないんです。

 突如、自分の奥さんが子供を連れ去った場合は、
そのアメリカ人にしてみれば、
自国と同じように、同じような扱い方がなされるだろうと思い込んでいるわけですよ。
だから、これは国が何とかやってくれるだろうと思って、地方の自治体に相談に行く。
ところが、地方の自治体は、日本は御存じのようにそこの点についてはほとんど無関心ですから、何とも返答がない。
そこで、その人はどうするかというと、国務省に相談に行きます。
そうしたら、国務省は、日本はけしからぬのだ、条約違反なんだということで、不履行国として国としては言っていますよと言う。
そして、それでもらちが明かないから、今度は大使館に相談に行っている。
大使館も同じような返答がある。

 私は、EUの代表部にも行きましたが、EUもやはり怒っていましたね。

 私が言いたいのは、こういうようなことが起きているときに、非常に感情的になりやすくなってしまうんですよ。
これは、日本人同士以上なんです。
日本人の場合には、連れ去りも、そんなのよくあるよねというような、それはひどいけれどもねというぐらいで済むんだけれども、
ほかの国からしてみれば犯罪なんですよ。
だから、それを国は守ってくれると思い込んでいたのに、守ってくれないという非常な絶望感、そういうようなものが発生しやすいんですよ。

 これは、それをそのままにしておくということは、
そうされてしまう側だけじゃないんです。
女性に対しても大変な危険が伴うんですよ。
そういう葛藤を生じるような制度のままにしておくということが、事件を発生させる温床になり得るんです。

 そういうような部分に関して、法務大臣、どのようなお考えですか。
こういうような葛藤が起き得るというようなことを、私は入管法でも指摘しましたよね。
文化が違うから、そこに衝突が発生しますよと説明しましたよね。
法務大臣、どうですか。
これは、今回の事件とは関係がない、一般論として質問させていただきます。

山下国務大臣 あくまで一般論でございます。

 アメリカにおいては、ペアレンタルキッドナップということで、
親による誘拐ということが犯罪化されている法制があるということは、一般的に承知しております。
これは、それぞれどのような法規制あるいは強行法規を持つかということは、それぞれの法文化によるところでございますので、そうしたことについてコメントは差し控えますが、
我々も、そういった国際基準というものを配意しながら、それに沿うような必要があれば法律を検討していくということで、
今般、民事執行法の改正案とともに、
ハーグ条約執行法に関しても関連法案を出させていただいているところでございます。
結果としてそういったところにもこの改正案が資するのではないかとも思っておりますので、
今私が申し上げられるのは以上のようなところでございます。

串田委員 この件はまた触れたいと思いますが、一点、こういう事件が起きたときに、
同じ場所に集合させるということは、私は必要ないんじゃないかと思っています。
大変、そういう意味で、
こういう高葛藤になり得るような状況のときの感情的な状況というのを、
再犯を防ぐためには、
同じ場所に集合させる、あるいは、
調停にしても何にしても、成立をするときには両当事者に出頭させることが多いんですよ、
同じ場所に出頭させるというようなことは、
これは考えていかなきゃいけないと思いますので、
提案だけさせていただきまして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。