20190425 参議院法務委員会 石井苗子議員

 
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○石井苗子君 分かりました。ありがとうございます。
 それでは、伊藤参考人にお伺いします。
 先ほどから、家庭裁判所の調査官でいらしたということで、
大変御活躍されていた御経験話、具体的にこういうことを聞くことが少ないものですから大変有り難かったと思うんですけれども、
御自身から、午前中に、我々といいますか私どもの党からの質問なんですが、
共同親権についてなんですけれども、
共同親権が例えば認められるようになった場合、
子供の最善の利益にとって好ましいことかどうかなんですね。
これは、御自身はどのようにお考えですか。

○参考人(伊藤由紀夫君) 私のもう個人的な考えです。
 私は、共同親権という考え方はやっぱり世界的な流れとしてもありますので、
それはやっぱり日本でもそういうふうにしたらというふうに思うところがあります。
それは、やはり一方の親だけが
離婚後は全て何というか
責任があり、子供に対して義務を負う
みたいな、
そういう考え方じゃいけないんじゃないかという、
やっぱりそこを明示するためにはというふうに思います。
 ただ、共同親権にしたからといって離婚時の紛争が鎮火するということは、私は思っていません。
むしろ、そうだからこそ、じゃ、どこで育てるんだとかどこで面会交流するんだとかということについて
むしろ紛争性が高まるということもないわけではないだろうというふうに思っています。
 以上です。

○石井苗子君 ありがとうございました。
 もうちょっと時間がありますので、今の件につきまして、
同じことで、ちょっと意見が違うんじゃないかなと思われるのでお聞きしたいんですけれども、
松下参考人は、この共同親権が認められるようになった場合、
子供の最善の利益にとって好ましいと言えるかどうかという点について御意見ください。

○参考人(松下淳一君) 現状、日本ではそういう考え方は取られていないわけですけれども、
それは恐らく、両親が不仲な中で、そういう中で子供が育てられるのは適切ではないというような御意見があって
現状こうなっているんだろうと思います。
 ただ、そこはやっぱり考え方の発想の転換が必要で、
これは関係者の意見の、
関係者の物の考え方の転換ということですので
なかなか一朝一夕にはいかないと思いますが、
両親は仲が悪くても、
子供との関係では手を携えて子供のために最善を尽くすという、
そういう発想の切替えがあれば、
共同親権というのは非常に、世界的な潮流だというお話もありましたけれども、
よろしいのではないかと個人的には考えておるところでございます。

○石井苗子君 私も、やはり国として
子供の人権というのを真っ先に
子供を先に考えられないのか
というのをずっと思っているのですが、
その点の発想の転換からいけば共同親権というのがいいと思うんですけれども、それでは最後に今津参考人にお伺いします。
 論文を拝読させていただきまして、今津参考人が論文に書いていらっしゃいました家庭裁判所の後見的な役割についてなんですが、
つまり積極的に家族に介入するという役割についてです。
 当事者の考え方や主体性を尊重することと介入していくことというのは、抽象的な質問かもしれません、
どっかで両立させなきゃいけないと思うんですけれども、
その両立というのはどの辺に考えていらっしゃる、
両立点というのはどこら辺に考えていらっしゃいますか。

○参考人(今津綾子君) 論文も読んでいただいたとのことで、ありがとうございます。
 家庭裁判所の後見的な役割というのは、家庭裁判所のつくられた当初からそういった言い方はされてきたんですけれども、
日本の伝統的なというか、実体法も含めてですね、
家庭というものに対して国が何かするということに対して非常に、何というか、抵抗があるという印象を受けております。
なので、家族の問題は家族の中でというのが基本的な伝統的な考え方だったかなと。
 もちろん、審判という形で、裁判所に来ればそこで処理をするという、そういう助けはあるんですけれども、
それ以外の場面で、私なんかが考えているのは、もっと、
例えば紛争の過程で
その紛争処理以外の親への教育とか、そういったことまで含めてやってもいいのではと。
 司法機関というのは基本的に紛争を処理することに役割があるわけですけれども、
実際に、私なんかは仙台にいるんですけれども、仙台の家庭裁判所では、
夫婦関係調整事件が上がってくると、その場合、
子供がいる場合には、夫婦に調査官なりがそれぞれ面接をして、
子供の利益というのはこうだと、
面会交流の重要性というのはこうだということを、紛争処理とはちょっと別枠で
そういった教育をする機会を与えていると。
ほかの家庭裁判所でもそういったプログラムはあるということですので、
そういった方法での支援というのは考えられている。
それは、当事者の自己決定を否定するのではなくて、
自己決定がより良くできるようなサポートという意味かと思いますので、
先ほどおっしゃっていただいた両立というのはその辺りにあるのかなと思います。

○石井苗子君 これからも子供ファーストで考えていきたいと思います。よろしくお願いします。
 ありがとうございました。