20190529 衆議院 法務委員会 串田議員 の 

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議事録

 

○串田委員 日本維新の会串田でございます。

 本日は、事前に配付をさせていただきました
この新聞の記事
を中心にして、まずはお聞きをしたいと思っています。

 その前提といたしまして、
連れ去り
外務省で言うならば、
監護権者の双方の同意を得ないで
一方が連れ去った
不法な連れ去り

に関しては
諸外国では犯罪にしているという国もあるかと確認させていただいていますが、
もう一度、その点について説明をいただきたいと思います。

○小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 法務省におきまして外国の法制度を網羅的に把握しているわけではございませんが、
参議院の事務局の方で

平成二十四年に作成されました資料

によりますと、
不法な子の奪取について、
例えば、
アメリカでは、
罰金若しくは
三年以下の禁錮又は

その併科

がされ、

イギリスでは、
略式手続による場合は

六カ月以下の拘禁若しくは

罰金又は

その併科

がされ、

正式手続による場合は

七年以下の拘禁に処せられ、あるいは

フランスでは、

一年以下の拘禁又は

一万五千ユーロ以下の罰金

が科されるといった例が紹介されております。

○串田委員 連れ去りということに対して、今のような
犯罪が成立をし、逮捕状が出され、

場合によっては国際指名手配というようなことも行われている

かと聞いております。

 ハーグ条約というのは、このような監護権を侵害するものに対して、原状回復をする、

その原状回復をする前提としては、国内では犯罪になっている、

しかし、国外に連れ去ってしまったときはどうしようもないので、ハーグ条約という条約があるということであります。

 これは、基本は監護権を守るということだと思うんです。

それで、諸外国はこれを犯罪にしているということなんですが、

これは日本という国は違うんですか、大臣、お聞きします。

○山下国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のハーグ条約というのは、
正式名称は
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約
ということでございまして、

これは、子の連れ去りを犯罪とすることを加盟国に義務づけているものではございません。

このハーグ条約は、

国境を越えて子の連れ去り等があった場合に、

子を常居所地国に返還することを目的として

民事上の側面に関する規律

を定めるものでございまして、

刑事罰が存在することを前提とするものではないものと認識しております。

 諸外国において子の連れ去りを犯罪としている趣旨については、

一概にお答えすることは困難でございます。

我が国における子の連れ去りについての犯罪の成否というのは、

捜査機関により収集された証拠に基づき

個別に判断されるべき事柄でございまして、

これもまた、一概にお答えすることは適当ではないと考えております。

○串田委員 その今の答弁に関して、私も、基本的には同じ考えなんです。

必ずしも刑事犯罪にすればいいというものではないと思うんですね。

 ただ、民事的にも、原状に回復をするということ自体はやはり一番大事なことなんではないかなと。

民法の改正をして、相互に協議をするというのも、片方が連れ去ってしまうというような、協議ができないような状況をなるべく避けようという意味で民法の改正がなされているわけでございますので、そういう意味では、

連れ去り自体が問題であるということを、これは国としても明確に示していく必要があるんだと思うんです。

 かつて、日本の妻が逮捕状が出されている状況で

アメリカから子供を連れ去ったときに、

アメリカ人が日本で子供を連れ戻そうとして逮捕された事例がありました。

これに関しては、

アメリカの日本の大使館の前でデモが行われ、クローリー国務次官補ですか、

これは妻の方が子供を奪取したのであって、国としてはできる限り父親を支援していきたいという、そういう声明も発表され、そして、

二〇一〇年には、アメリカの下院で、四百十六対一ですか、

圧倒的な数で、日本の今の連れ去り問題について非難決議が出されているというような状況であります。

 そういう状況の中で、今回この新聞記事というものが報道されているわけですけれども、

要は、何が言いたいかといいますと、

本来は、連れ去った方が諸外国では犯罪にしている例もあるし、原状回復というものが当たり前である。

連れ去った側が本来は、いろいろな意味で、国としてもそれはやめなきゃいけないんだということを告知しなければいけないのに、この記事は、連れ戻そうとしているという前提のもとで、こういうような、要するに対象を限定している。

 これを見ると、今、日本のドラマでも出てこないような状況ですよ。

髪の毛が短くて、真っ黒で、サングラスをかけて、真っ赤なシャツを着て、そして皆さんに取り押さえられている、そういう状況であります。

 しかし、連れ去られている人というのは、この霞が関にもたくさんいらっしゃいます。

私のところにも相談に来られている方がいっぱいいます。

そして、民間のサラリーマンもいれば、自由業者もいる。連れ去られるということは、これは職業に関係がないわけですよ。

そして、本来は国が戻さなければいけないにもかかわらず、それを放置しているという状況の中で、

我慢して我慢しているというのが今の現状じゃないですか。

 そして、もしかしたら、幼稚園に顔を見に行きたい、あるいは運動会に顔を出したいというような状況のときに、こんな記事を載せれば、

子供と一緒に暮らしているお母さんのところに父親がやってきたら、こういうような状況の凶悪犯人みたいな形で一般世論は考えてしまうんじゃないですか。

 この訓練というのは八幡警察署が働きかけているということなんですが、

どういう趣旨でこういう取り押さえられている人の人相というか服装を取り決めたのか、説明をお聞きしたいと思います。

○小田部政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の防犯訓練についてですけれども、

御指摘の防犯訓練を行った京都府警察八幡警察署の管内におきましては、

平成三十年中の児童相談所への児童虐待の通告件数が前年よりも大幅に増加し、

また、通告の相当数をいわゆる面前DV等を要因とするものが占めているといったような情勢があったと聞いているところでございます。

 そして、京都府警察の八幡警察署におきましては、このような情勢を踏まえまして、

児童虐待やDVの加害者である親

こども園に押しかけて子供を連れ去ろうとしているという想定で、

子供の安全確保の観点から

職員の対応訓練を実施したものと京都府警察から報告を受けております。

 そして、委員御指摘の訓練におきます加害者役の服装等につきましては、

当該訓練の想定が、先ほど申しましたように、児童虐待やDVの加害者である親がこども園に押しかけ子供を連れ去ろうとしているという想定であったことから、訓練参加者等から加害者役が明確に区別できるようにしたものということで、

父親について悪い印象を与えることを意図するものではなかったと京都府警察から報告を受けているところでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、警察庁といたしましては、御指摘のような点も踏まえつつ、事例の設定のあり方等については、

個別の訓練に即して適切な防犯教室、防犯訓練が実施されるように都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

○串田委員 ここにも児童虐待というのが出ていますけれども、御存じのように、児童虐待のデータというのが出ていまして、

平成二十六年が最新という形で、今、もっとそれ以降というのはまだちょっと私の手元にはないんですが、

児童虐待の数としては、

父が三四・五%で、

母が五二・四%

児童虐待の数字から見れば、母親の虐待の方が父親よりも上回っているわけですよ。

 これはもう歴年、二十六年までずっとそういう傾向が続いているわけで、

それは、子供と長く接しているからというような事情もあるでしょうけれども、

そこに父親だから虐待が多いというわけではないのに、

この写真から見て、

母親と暮らす子供を別居の父親が連れ去ろうとするというような決めつけの中で、

父親役をこういうようないかにも悪人のような格好をさせ、

そして取り押さえているのが女性だらけというような形で、

女性と男性というような決めつけの中でこういうような訓練を行って、

そしてそれを報道させているということ自体は、

極めて、私、これは誤解を招くようなことになるのではないかと思うんですよ。

 こういうようなことをやれば、本来、

ただ単に、静かな中で遠くから顔を見たいな、運動会に行きたいなと思っても

こういうような非常に凶悪な状況なんだというようなことで、

運動会の連絡も教えなくなる、あるいは来させなくなるというような傾向もあるかと思うんですが、

大臣、率直に、この訓練、大臣から見て適切だと思いますか。どうでしょう。

○山下国務大臣 これは個別の報道に関するお尋ねでございまして、見ておられる方の印象はそれぞれだろうと思います。

また、これは民間の機関で実施された訓練でございますので、法務大臣としては所感を述べることは差し控えさせていただきたいと考えます。

○串田委員 そういう返答であっても、これは京都府警八幡署と府警少年課が指導し、そしてこの犯人役というのは警察官だったというような話も聞いているんですが、そうなんだろうなというふうにはちょっと思うんですけれども、主導しているんですよ、警察署が。

 そして、ここにDVと書いてありますけれども、現在、DVというもの、私は、共同親権を進めるということで、DVに対して安易に進められては困るという声も聞いているわけですが、私は、DVは絶対なくさなきゃいけないということは、これはもう前から申し上げているし、そういうことに対する防止策というのを今いろいろな国に調査をしていただいているというふうに私も認識しています。

 DVというのはなくさなきゃいけないということはもうはっきりしているんですが、一方で、非常にそういう意味では

DVという認定がされやすい状況にあることもこれは事実でして、

警察署なりなんなりに相談に行くと、意見書というのが出してもらえる、相談を受けたという意見書を出してもらう。

そうすると、その意見書がひとり歩きして、DVの被害者と加害者という形になってしまうんですよ。

 前に小野瀬民事局長も、前の質問のときに、ハーグ条約のところで、

返還をしない理由の中で

相談をしたというようなこともおっしゃった中で、

相談だけで拒絶できるんですかということに関しては

私はまだ回答をいただいていないんですが、

相談することだけで不法行為というものを証明できるという判決を

小野瀬民事局長も出されたことはないと思いますよ。

そんなことで立証できるんだったら、もう弁護士は楽でしようがないですよ、

被害者の方が相談すればそれが立証できたということになれば。

しかし、DVに関してはそれがまかり通っちゃっているわけですよ。

 そういう中で、犯人役のような、こういうようなイメージをつくられる別居親というものが世の中にたくさんいる。だから、そこはしっかりと見きわめていくということが必要であるので、現在、諸外国への調査をしていただいていると私も認識しています。

ですから、しっかりとDV対策はしていかなければいけないんですが、
そういうようなことの苦しみを今別居親が感じているということも

しっかりと認識をしていただかなければいけないと思うんです。

 警察庁の方にお聞きをしたいんですが、この新聞記事から、これは何が問題となっているのか。

例えば、塀を乗り越えるというのはとんでもないことだと私も思うんですが、

塀を乗り越えるから、さすまたでとめているのか、

やってきたことがいけないから、さすまたでとめることになるのか

ここら辺、この記事からわからないと思うんですが、訓練の趣旨はどっちなんでしょうか。

○小田部政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の訓練につきましては、
児童虐待やDVの加害者である親
がこども園に押しかけて
児童虐待の被害者である子供
を連れ去ろうとしているという想定
でございまして、
子供が連れ去られた場合、
加害者により児童虐待が行われるおそれがあることから、
子供の安全確保の観点から、
緊急時における迅速な通報、
警察官臨場までの園児の安全確保のための対応要領を確認することを狙いとしたものと報告を受けているところでございます。

 いずれにいたしましても、警察庁といたしましては、先ほども御答弁申しましたけれども、御指摘のような点も踏まえながら、事例の設定のあり方等につきましては、地域の犯罪情勢等を踏まえた適切な防犯教室、防犯訓練が実施されるように都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

○串田委員 その限定を聞いた上でこれを見れば、わからなくはないんですよ。

やってきてDVをするんだというんだったら、とめなきゃいけないというのはわかるんですけれども、この記事だけだと、それはわからないんじゃないんですか、そういう人だということが。

母親と暮らす子供を別居の父親が連れ去ろうとするということを想定しているわけでしょう。

ただそれだけが冒頭の中に出てきて、こういう背景があるということなので、

この人間がDVを日ごろからしているんだという限定がこの記事から読み取れない中で、

こういうような表現というのは極めて誤解を招くんだと私は思うんです。

 ですから、今回は、もう出てしまって、やってしまったことはしようがないんですが、そこら辺の配慮というのを今後していただかないと、こういうのをこれからも行っていくということであれば、私は極めて、これは国際問題にもなりますよ。

今、離婚の中で国際結婚の離婚率も非常に高い中で、

国内でも連れ去られていく人間に対して諸外国ではしっかりと連れ去りに対して対応している国から来ている人たちが、

この日本ではそれに対して十分にまだなされていないという中では

自分たちがすごく被害者だという思いの中で、

こんな記事で書かれてしまっていて、これは国際問題に私はなると思うんです。

 個々の事例に関してはコメントを控えられるということですが、

法務大臣として、これは人権問題としては法務委員会の所管だと思いますので、

今後の訓練の仕方とか、こういうような設定の仕方も含めて、そこら辺の配慮を法務大臣としても表明していただきたいんですが、いかがでしょうか。

○山下国務大臣 民間の施設における、まあ、警察の指導ともこの報道には書いてありますけれども、いずれにせよ、民間施設における対応ということでございます。

 そういったことで、こういった訓練等につきましては、関係機関の適切な指導を行いながら、

こういった子供の連れ去り等が防げるということを期待したいと考えております。

○串田委員 今はちょっと具体的にはなかなか言えないかとは思いますけれども、やはりちょっと、写真を見たら、法務大臣もこれはちょっとやり過ぎだろうと思っていただいていると思いますよ。そういったようなところで、警察の方も、同じ訓練においてもちょっと配慮していただきたいなというふうに思います。

 そして、こういうようなことがあると、学校が、何の、DVでもなければそういう虐待でもないのにかかわらず、

子供を連れ去った側が、学校側から運動会とかに対するいろいろな情報を教えないでくれと言われると、

学校が教えなくなる、場合によっては行けなくなるというようなこともあるんですが、

そういうような法律上の根拠というのはどこにあるんでしょうか。

○丸山政府参考人 お答えをいたします。

 父母間での子供との面会などをめぐるトラブルによって、

連れ去りなどの子供が巻き添えになる事案が発生していることを踏まえれば、

学校としては、子供への安全上の配慮等の観点から、

別居親への対応について慎重に行う必要があるというふうに認識をしております。

 面会交流の権利については、

民法第七百六十六条に根拠がありますが、

父母間の協議、家庭裁判所の審判等によって

具体的な頻度、方法などが決まるまでは、

別居している親は

具体的な面会交流の実施を求めることはできないもの

と解されておりまして、

例えば、

一部の学校においては、学校行事への参加など、子供と面会をする場合には父母間の協議が調っていることなどを前提にするといった事例があると承知をいたしております。

 学校が、教育委員会や福祉部局等と連携をしながら、子供の安全を第一に考え、適切に対応していくということが重要であるというふうに考えております。

○串田委員 時間になりましたので、この点は次の回にもう少し細かくやりたいと思うんですけれども、

連れ去った側が諸外国では犯罪になるんだという国まであるぐらいですよ。

その状況を、この運動会だとかそういったようなことに対して

どういうふうに国が考えていかなきゃいけないのかということを今後はまた問いたいと思います。

 きょうは、どうもありがとうございました。

○葉梨委員長 以上で串田誠一君の質疑は終了いたしました。