法律と社会経験。

「裁判官は社会経験がないから、
おかしな判断をする」
とよく言われるが、
いまいちピンとこなかった。
社会経験がなくても、
法律に従って判断すれば、
まともな判断はできるだろという違和感があった。

しかし、ふと気づいた。

現実社会は、法に基づいて、営まれていない。

むしろ、現実社会と法の間には、乖離があるからこそ、
法律が作られる。
とすれば、法に基づいた判断をすれば、
自ずと、現実社会とは合わない判断になってしまう。

たとえば、法律では、
児童虐待→一時保護
となるが、
現実社会では
児童施設や里親によって、
児童虐待が行われている。

沖縄の児童養護施設で虐待27件 児童ら73人被害

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180303-00217362-okinawat-oki

加えて、裁判所の手抜きも目立つ。
たとえば、
「お母さんに育てられるほうが
子供は幸せ」
とばかりに裁判所は母親を親権者とするが、
実際は、
ママパパに児童虐待の上、
殺されたりする。

5歳女児が死亡 傷害容疑で父親を逮捕

https://mainichi.jp/articles/20180303/k00/00e/040/308000c

一人親である母による児童虐待の懸念があっても、
「児童相談所があるから問題ない」
と切って捨てる。
これは、法律上は正しいが、
しょせん、机上の空論であり、
現実社会では、
上記の紹介記事の二つとも、
児童相談所は機能していない。

このような、現実社会と合わない判断が、
裁判官個人のせいにされていると思うのだが、
実際は、よって立つところが違うのでやむを得ないところではある。
しかし、だからこそ、
裁判官の仕事とは、
法律と現実社会の齟齬を
うまくかみ合わせることではないかと思う。

法律の建前を維持しつつも、
現実の紛争を解決する機能が求められる。

そういう意味で、社会経験のない裁判官は、
法律に基づいた判断しかできないから、
現実社会の紛争を解決できないこととなる。

やはり、社会経験は必要だね。