人身障害保険の登場によって、すっかり影が薄くなってしまった感のある搭乗者傷害保険ですが、「いっそ無くてもよいのでは?」と考えるのはちょっと早計です。今回は搭乗者傷害保険についてのお話です。医療保険金には2つのタイプがあります。 最近では「部位・症状別払」が主流になりつつあるようです。

以前の記事でもお話しましたが、搭乗者傷害保険は、(保険契約の対象となっている自動車に搭乗中の)運転者や同乗者が事故によって死傷した場合に備えるための定額の傷害保険です。搭乗者傷害保険では、「死亡・後遺障害保険金」や「医療保険金」などが補償されるのですが、このうち、ケガをして入院や通院をした場合に支払われる医療保険金については、「日数払」と「部位・症状別払」という2つのタイプのものがあります。


これは決まった金額を払ってそれで終わりというものです。保険料(掛金)としては「日数払」よりも「部位症状別払」の方が保険料は幾分割安です。





自動車保険の約款(搭乗者傷害条項、医療保険金)の一部を抜粋すると
「(略)~平常の生活または業務に従事することができる程度になおった日までの治療日数に対し、次の金額を医療保険金として(略)~払います」
というふうに書かれています。
例えば仕事をしている人であれば、仕事ができる程度に直ったらそこまでの金額を支払うということです。つまり約款上はそれ以降については対象にならないことになります。


では具体的にいくらかというとその線引きはケースバイケースでなんとも言えません。しかしながら仮に一家の大黒柱が大ケガをしたら経済的には多少なりとも保険の助けが必要ですし、あてにされる方も多いでしょう。そんなとき保険金が減額されたら・・・


搭乗者傷害保険の医療保険金の支払いにはこういったことがあるということは、是非覚えておいてください。また最近では医療保険金の支払いも従来と違うタイプのものもでてきています。事例のように一日当りの金額×日数という従来からの「日数払」の他にケガをしたのがこの箇所でこの症状なら固定でいくらという「部位症状別払」というものがでてきています。

Hさん(45歳、男性)は先日交通事故に遭った。信号待ちで停車していたところに後ろから追突されたのだ。幸い相手は良い人で事故でもめることもなく、過失割合0:100(自分が0)で、相手から十分補償を受けることができ、示談に関する話も問題なく進んでいる。


当然自分の保険は使うつもりがなかったが、知り合いに自分の保険も請求した方が得だよと言われ自分の自動車保険の搭乗者傷害保険を請求することにした(Hさんの保険には入院10000円、通院5000円がついていた)。病院での入院・通院日数で計算したところ60万円位になりそうだったが、保険会社からは45万円を切る額の提示を受けた。


今回は搭乗者傷害保険について考えていきましょう。搭乗者傷害保険とはその名の通りその車に搭乗している人のケガ(傷害)の保険です。その車に搭乗していて死亡した場合や入院や通院時の医療補償がついています。