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ネット渋滞解消へ対策、米大手が「定額使い放題」見直し
 動画利用の急増でインターネットの通信速度が下がる「ネットの渋滞問題」に対応するため米国の大手事業者が接続料金体系の見直しに動き始めた。頻繁に動画などをやり取りする一部利用者が通信回線を実質独占する現状に対応、通信量に応じて費用を負担させる新方式を試験導入する。日本でもネット渋滞は深刻で「一定額を払えば使い放題」が売り物だった事業モデルの見直しが広がる可能性も出てきた。
 料金体系の見直しに乗り出したのはネット接続事業を兼営する米CATV最大手のコムキャストと同2位のタイムワーナー・ケーブル。送受信した電子メールや動画などのデータ量を計算、これが一定量を超えた場合に超過量に応じて追加料金を徴収する「従量課金」方式を一部採用する。



国内SNS市場、08年度413億円に・矢野経済研究所調べ
 民間調査会社の矢野経済研究所は5日、国内のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)市場規模の推移予測を発表した。サイトに掲載する広告が引き続き拡大し、2008年度は前年比5割増しの413億8000万円に達する見込みだ。伸び率は鈍化するものの、09年度も3割増しの544億4000万円と持続的な成長を予測している。
 6―8月に国内のSNS事業者約130社に聞き取り調査を実施した。
 市場規模の内訳として、「広告の売上高」と「その他の売上高」を設定した。その他の売上高は、SNSのサイト上での音楽コンテンツ販売や有料の会員登録制度、会員を活用した調査サービスなどを指す。広告以外の市場規模は、08年度144億6000万円と前年比84%成長を見込んでおり、新たな成長エンジンとなりそうだ。



米住宅公社を政府管理に 優先株購入枠、2000億ドル
 【ワシントン=大隅隆】ポールソン米財務長官は7日記者会見し、経営難に陥っている連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を政府の管理下に置くと発表した。2社合計で2000億ドルの優先株購入枠を設定、経営状況に応じ段階的に公的資金を注入する。これを受け両社の経営陣を刷新。株主にも一定の責任を求める。金融システム危機を防ぎ、米経済の悪化に歯止めをかける狙いだ。
 信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した米金融システム不安が昨年夏に表面化してから1年余りたち、公的資金を活用する新たな段階に入った。
 ポールソン長官は「金融市場の安定、住宅金融の円滑化、納税者の保護の3つの観点から、新たな施策を決めた」と語った。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長も「今回の決定が住宅市場の強化と金融の安定に貢献するだろう」との声明を発表した。



米株、金融不安解消を注視
 【ニューヨーク=山下茂行】米株式市場は住宅公社救済策が金融不安の収束につながるか注視している。市場では住宅公社支援策が具体化するとの期待感から先週後半以降、先回りする形で金融株が買い戻されている。その一方で、世界経済の減速を懸念するムードが急速に強まっており、グローバル展開で先行するハイテク株などの下げが目立つ。原油安も「世界的な景気減速の兆候」としてエネルギー株の売りを促すなど、むしろ株価の下押し要因と受け止められている。
 先月末(8月29日)以降、今月5日までにダウ工業株30種平均は322ドル下落した。



車部品、米で相次ぎ減産
 米市場での新車販売不振を受け、小糸製作所や豊田合成など自動車部品大手が相次ぎ生産調整や能力増強の先送りに動き始めた。特に米ビッグスリーやトヨタ自動車などによる大型車の減産の影響が大きく、比較的好調な中・小型車向けの需要を取り込むなど対応を急いでいる。今後、欧州やアジアでも自動車販売が低迷すれば、一層の対応を迫られることになる。
 小糸製作所は米イリノイ州のランプ工場で大型多目的スポーツ車(SUV)向け生産ラインの稼働を落とす。2008年度の減産規模は約50万台分で、07年度の米市場の受注総量の2割に相当する。日系メーカーを含め、大型車向けの受注が落ち込んでいる。



初めて700億円突破 サッカーくじ売り上げ総額
 サッカーくじを運営する日本スポーツ振興センターは7日、2008年シーズンの売上額が700億2790万9400円となり、2001年の導入以来、初めて700億円を突破したと発表した。
 同センターは好調の要因に、3シーズン目を迎えた「ビッグ」が昨シーズンの売り上げを上回っていることや新商品の「ビッグ1000」も55億円を超えていることなどを挙げた。



OPEC減産調整へ、9日に総会 サウジの対応焦点
 【ロンドン=清水泰雅】石油輸出国機構(OPEC)は、9日にウィーンで開催する通常総会で、原油減産に向けて手法や時期などを調整する見通しとなった。一時は1バレル150ドル近かった原油先物価格が同100ドル目前まで下落。価格回復へ減産を主張するイランなどタカ派の意見に支持が集まりつつある。これまで米国など消費国の増産要求に個別に応じてきたサウジアラビアの対応が焦点となる。
 イランのノザリ石油相は「(減少している)需要に比べ、供給が多すぎる。総会では供給過剰をどう調整するかが主要議題だ」と繰り返し発言。ベネズエラなど多くの加盟国が同調する見通し。一方、高騰する原油価格を抑えるため増産してきたサウジアラビアなどは沈黙を守っており、減産やむなしとの姿勢に傾いているとみられる。



土壌汚染対策など「環境負債」1000億円超す 上場企業07年度
 上場企業の間で土壌汚染の改善など環境対策にかかる将来の支出を、引当金として貸借対照表に計上する動きが広がっている。「環境負債」と呼ばれるもので、主要企業の2007年度の金額は前の年度より21%増え1113億円と、初めて1000億円を超えた。国や自治体は企業に環境対策の強化を求める姿勢を強めており、関連コストは今後一段と増えそうだ。
 日本経済新聞社が東京、大阪、名古屋の証券取引所1、2部に上場する約2500社を対象に、有価証券報告書で環境関連の引当金を調べた。企業が本格的に環境負債を計上し始めた前年の04年度と比べると、07年度の計上額は約13倍に急増、計上企業数も初めて100社の大台に乗った。


「10月衆院解散」強まる 与党・民主、選挙態勢に突入
 政局の最大の焦点である衆院解散・総選挙で、「10月解散―11月選挙」をにらんだ動きが加速してきた。24日召集予定の臨時国会で新首相の所信表明演説と各党代表質問を終えた10月上旬の解散が有力。民主党側の出方や2008年度補正予算審議を考慮し、自民党総裁選で選ばれる新首相が投票日を含めて総合判断する。民主党も選挙準備を急いでおり、各党は事実上の選挙態勢に入った。
 10月上旬解散の場合、投票日は最短なら10月26日。ただ、この日程は窮屈との見方も多く、その場合は11月上旬が有力候補となる。「投票率が低くなる3連休の中日は避けたい」(自民党幹部)との理由で、投票日は11月9日か16日との案が取りざたされている。



麻生、与謝野両氏の政権構想明らかに…財政運営の違い鮮明
 自民党総裁選(10日告示、22日投開票)に立候補する麻生太郎幹事長と与謝野馨経済財政相の政権構想が7日、明らかになった。
 麻生氏は「日本経済は全治3年」と位置づけ、今後3年間は景気対策のための積極的な財政出動を辞さない姿勢を明確にした。与謝野氏は「財政規律路線を堅持」と明記、消費税の社会保障目的税化を掲げ、今後3年間で消費税率引き上げを含む税制抜本改革に取り組むとして、財政運営で麻生氏との違いを鮮明にした。
 麻生氏の構想は「日本の底力 強くて明るい日本をつくる」と題し、9日に発表する。政府・与党の総合経済対策、定額減税の実施に加え、証券優遇税制の拡充などを念頭に、「政策減税・規制改革で、成長政策を取る」と訴えた。また、「財政再建路線を守りつつ、弾力的に対応」とした。既に、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2011年度に黒字化するという政府の財政再建目標の先送りを示唆しており、この立場を示したものだ。年金制度に関しては「安定的な財源確保のため、国民的議論を進める」とするにとどめ、消費税の扱いは明示しなかった。
 与謝野氏の構想は、「堂々たる政治 あたたかい改革」と題し、8日に発表する。消費税の社会保障目的税化には、所得税、法人税などの見直しと共に3年がかりで取り組む方針で、税制改正の進め方を示す「中期抜本税制改革プログラム法案」を国会に提出するとした。小池百合子・元防衛相も8日に、環境税創設や、女性の就労環境の改善策などを盛り込んだ政権構想を発表する予定だ。
 一方、棚橋泰文・元科学技術相と山本一太参院議員は7日も推薦人集めを続けたが、両氏とも国会議員20人確保のめどが立っていない。両氏は同日夜、都内のホテルで会談し、候補一本化について協議したが、結論を持ち越した。



グーグル10年 まず「ググる」でいいか(9月8日付・読売社説)
 インターネットを、身近で、便利な道具にした貢献度は大きい。
 よく「インターネット検索最大手」の枕詞(まくらことば)がつく米グーグル社が、7日で設立10年を迎えた。
 米スタンフォード大の大学院生ラリー・ペイジ、サーゲイ・ブリン両氏が設立した。
 当時、インターネット上の情報は急速に増えていた。多数の情報からどう役立つ情報を得るか。両氏は大学での研究をもとに、無料の検索サービスを始めた。
 これが当たった。
 キーワードを入力すれば、多くの人が有用と考え、利用している情報が優先的に表示される人気順方式だったためだ。
 ネットに情報を流す政府、研究機関、企業が急速に増え、それが一般のネット利用を拡大するという好循環が生まれた。
 グーグルも発展した。検索データから利用者の嗜好(しこう)に合わせた広告を検索結果の表示画面に出すことで収益を確保し、さらなる技術開発につなげてきた。
 今や、ネット社会の基盤技術と言ってもいいほどだ。グーグルのサービス利用は「ググる」とも呼ばれ、買い物や旅行、仕事の情報収集も、まず「ググる」。
 政府も、企業も、グーグルへの依存を深めている。
 例えば、地図が未整備の途上国で災害が起きた時、日本政府の防災担当者は地図サービス「グーグル・アース」を調べる。人工衛星からの画像情報をもとに地形や土地利用の様子が分かるためだ。
 電子メール、ワープロなどの無料サービスもある。今も、多彩なサービスが拡大中だ。
 今月は独自のネット閲覧ソフトの提供を始めた。この分野で最大手のマイクロソフトが警戒を強めている。グーグルは地図サービスでも、解像度50センチ以下という偵察衛星並みの画像を撮影できる人工衛星の独占利用を発表した。
 世界から優秀な技術者を集めて自由に研究開発させる、という経営方針もこれを支える。
 検索サービスのために独自に保存しているデータも膨大で、100万台以上のコンピューターをフル稼働させていると言われる。
 ただ、全面依存は要注意だ。
 検索サービスも、中国のように検閲が厳しい国では、政府の方針に合わせて、情報が選別されている。規制がない国でも、グーグルの方針に沿わない情報は選別される、という指摘がある。
 あくまで、私企業のサービスということを忘れてはならない。


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