レスリングは、競技人口も少なく、正当な情報が圧倒的に乏しい現状です。統計に基づいた情報ではなく、成功例や経験則が大半を占めています。つまりエビデンス(根拠・証拠)がしっかり確立されていない場合が多いと思います。情報社会だと成功例ばかりが先行され、後に続けと皆が真似をしてしまう。皆が同じ心理境遇をもってしまう。


情報過多社会がゆえに、人の噂や評判から先入観が働き、決めつけていないでしょうか。自分はこう思うけど周りが…と流されたり押しつぶされたりしていないでしょうか。もっと、自分の目で、自分の耳で、鼻で、肌で、空気で物事の本質を確かめてほしいと思います。食べログのように、もちろん世論の評価が高ければ信頼度も高まるのも分かる。しかし、レスリングの場合、圧倒的に母数が少ないので統計論ではない。


レスリングの成功例は無数に存在します。高校生の場合、男子フリースタイルでは、全国大会では、インターハイ・国体・選抜の3大会あります。同一を除いて、32人のメダリストが毎年生まれます。10年で320人です。30年で960人です。小学生の場合、100階級、100人の金メダリスト、400人のメダリストが1年間で誕生します。その中の1例を参考にして、真似をして取り組むことは、宝くじよりは確率が良いと思いますが、ご本人のためになるとは到底思えません。

クラブによって、目標とすることは様々ですので一概には言えませんが、キッズレスリングの本質といえば、「青少年少女の健全な心身の育成」です。それにブレていないのであれば、間違いなく存在意義があるでしょう。

そもそも何をもって成功かの定義もなく、「小学生からずっとチャンピオン」も成功だろうし、「高校から始めて大学で3位入賞」も成功だろう。しかし、「虚弱体質の選手が高校3年間、レスリングを辞めずに続けること」もその人にとっては成功だと思うし、「マネージャーに徹していた経験を社会で活かせる」のであれば、それも成功だと思う。


逆に、小学生はチャンピオン常連の選手が、高校や大学で辞めてしまうケースも沢山見てきた。人はそれを失敗だと捉えるかもしれないが、その挫折経験をセカンドキャリアに生かして成功する例も見てきた。


何が言いたいかと言いますと、強くなりたいなら選手は正直にコツコツと取り組むべき、親はじっくり学び見守るべきです。強くなる選手は、環境のせいにもせず、練習仲間のせいにもせず、言い訳せず、自分の目標にまっすぐに素直に突き進む選手です。逆行を勝機に捉え、突き進む選手です。固定観念にとらわれず、打ち破る選手です。


その過程で心身ともに成長し、人に対する感謝の気持ちや礼節を学び、先人からしていただいたことを後生達に引き継ぐことで正しいレスリング観を築けます。心の成長には、家庭環境が大きく寄与します。たかだか1人2時間程度、子供と向き合う指導者よりも、普段の私生活から接している親御さんの方がよっぽど影響力を与えます。


ブログをご覧頂いている方がこの文章をどう捉えて下さるかは自由ですが、選手に一番強く言いたいことは、どの選手にも平等にチャンスがあることを忘れず、ひたむきに練習して下さい。親御さんにおいては、我が子を信じ、師を信じ、固定観念にとらわれずに沢山の事を勉強して下さい。そして自己解決せず、何でも相談して下さい。どんな解釈でも良いですが、解釈と本質が違えば、子供に影響を与えます。その子供はいつまでも子供ではなく、近い将来、親の手の届かぬ所に行きます。高校や大学など物心がついたとき、過去を知ることで悲しむことも出てくるでしょう。


そんな価値観から、レスリングは自分に正直で素晴らしい競技だと思います。