ケープフェチって性癖の中でも珍しいというか、かなりマイノリティだと思うんだけど、
同じフェチの人はそういうシーンになるとなんとなく
「この人も、もしかしたらそうなんじゃないか」
「多分この人、そうだろうなあ」
とか、その程度は伝わってくるものがあるのかもしれない。
私のフェチもそんなふうに、彼にはなんとなく伝わっていたみたいで
しばらくの間、彼は私の担当の美容師として私のフェチ具合を見定めていたらしい。
施術に入る前にクロスを持ち出して目の前に広げた時
実際にクロスをかける時に、いつもよりわざと時間をかけてゆっくり丁寧にしてみたり
クロスをかけられている最中の私の様子を、鏡越しに観察したり
そんなふうにして、数ヶ月私の様子をじっくりみていて
「あ、この子きっとクロスに特別に反応するんだろうな」
って気づいたって。
彼は後からそう言ってた。
そう言われて、
「よく見てるよねー」って思わず照れ隠しに笑ってしまった。
「気づいたんなら、その時に言ってくれたらいいのに」って恥ずかし紛れに言ったけど、
「え?「お客さん、クロスフェチですよね?」って聞くの?聞いていいの?困るんじゃないの?」
って意地悪そうに笑いながら覗きこまれたら、もう何も言えない。
今だってクロスをされた状態で椅子に座らされて、その姿を真正面から彼にみられてる。
こんな姿まじまじと見られて、私はもう内心どうしようもないぐらい恥ずかしくて仕方ないのに。
彼は別にクロスに特化したフェチではないけれど、私の恥ずかしがる姿や困った様子を見るのがただただ好きらしい。
私のどこが彼のツボに入ったか分からないけど、彼が美容師として働く店に客として私が来たときから、もうなんとなく気になってたそうで。
「ぱっと見どっちかといえばSぽいし、きっちり、凛としてる系統でしょ。そういう人の普段他の人に見せないような姿を見るのって最高でしょ」
そう言いながら、今かけられている黒のクロスの首元のマジックテープをビリビリと剥がすと、
「ほら、こうやってされただけですぐそんな顔する」ってクロスの首元に全く隙間がないくらいわざときつく締め直して満足そうに私を見下ろした。