ハルルートの譲二さんの話の続編『再会』でヒロインとハル君が結ばれてしまった話の続き☆☆☆☆☆それぞれの道~その6〈美緒〉 譲二さんと別れて7年経った。 ハル君は弁護士事務所を立ち上げ独立し、私も市の福祉課に勤めている。 幼なじみたちもそれぞれ頑張っている。 一護君は3年前に有名なパティスリーから引き抜かれ若手パティシエとしてがんばっている。 りっちゃんによると決まった彼女はいないけど、モテモテらしい。 剛史君は陸上での実績をいかしてトレーナーになった。 剛史君は大学時代のマネージャーと付き合っていて、りっちゃんによると結婚もそう先のことではないようだ。 リュウ兄は母校の高校教師になって頑張ってる。生徒の面倒見もいいらしい。 親分肌のリュウ兄には天職かも。 そのりっちゃんは大学卒業後、もう少し音楽を勉強したいとフランスに留学した。 今は演奏活動で、日本とフランスを行ったり来たりしている。お父さんとも時々共演しているらしい。 りっちゃんとは女友達みたいに仲良くしてもらっている。 未だに2日に1度はメールのやり取りをしている。相変わらずりっちゃんは馴れ馴れしいので、時々ハル君がヤキモチをやくくらいだ。 りっちゃんは吉祥寺で過ごす時間が一番少ないはずなのに、みんなの情報を一番握っていて、私にも色々教えてくれる。 だから、幼なじみの近況もほとんどりっちゃんに教えてもらったものだ。 譲二さんは…、あれから間もなくクロフネを閉めて実家に帰った。 傾きかけた茶堂院グループの経営を助けるためだったそうだ。 譲二さんがあの写真の人とお見合いしたかどうかは知らない。でも、未だに独身らしい。 その譲二さんがまたクロフネを再開するらしい、という情報を教えてくれたのもりっちゃんだ。理人「この間、僕のコンサートにマスターが来てくれたんだけどさ。楽屋まで訪ねて来てくれて、懐かしかったから色々話し込んだんだ。」美緒「ああ、この間のコンサート、私たち行けなくてごめんね。」理人「ああ、それはいいよ。その前の時には2人して来てくれたじゃない。」美緒「譲二さん、元気そうだった?」理人「うん。元気そうだったよ。髪もきちっと撫で付けてあって、いかにも青年実業家って言う感じ。でも、そんなに老けた感じはしなかったな…。だからね、10年経って僕らが年取った分、マスターに追いついたような感じがしたよ。」 美緒「そうなんだ」 譲二さんの姿を思い浮かべる。 かすかな心の痛みとともに、とても懐かしい気持ちが込み上げて来た。理人「その時にね、『そろそろクロフネを再開したいな』って言ってたよ」美緒「え? クロフネを?」理人「危機だったグループの経営も軌道に載って、マスターがそんなにタッチしなくてもうまく行きそうだから、『そろそろ自分が本当にしたいことをしたいんだ』って言ってたよ。」 譲二さんが吉祥寺に帰ってくる。クロフネに帰ってくる。理人「それでね、マスターの歓迎会を僕らでしてあげたらどうかと思うんだけど。リュウ兄なんかも乗り気でね。美緒ちゃんはマスターと色々あったから…、ちょっと複雑な気持ちかもしれないけど…、よかったら歓迎会の準備を手伝ってくれないかな?」美緒「うん。いいよ。譲二さんともまた会いたいし」その7へつづく人気ブログランキングへ
玉の緒のブログ
...