【2022年12月3日】
久しぶりに訪れた、和歌山電鐵貴志川線の伊太祁曽駅。
かつて紀伊国の一之宮だった伊太祁曽神社の最寄り駅です。
ちなみに神社は「いたきそ」、駅は「いだきそ」で読み方が微妙に違います。
和歌山電鐵貴志川線の沿線には伊太祁曽神社、日前神宮・國懸神宮、竈山神社という三社の有名な神社がありますが、元々、貴志川線はこの「三社参り」の参拝客をメインターゲットにしていた路線でした。
これまで「鉄道むすめ」のスタンプを押印する目的では何度も訪れてきた伊太祁曽駅ですが、神社を訪れるのは初めて。
というか、駅から外に出る事自体が初めて。
神社の存在は以前から知っていましたが、なかなか訪れる機会がありませんでした。
駅を出て少し歩くだけで、もう鳥居が見えてきます。
駅から徒歩五分ほどで、木で造られた大鳥居に到着。
古代に神社が創設されて以来、老朽化などで何度も立て直しが行われ、現在の大鳥居は平成になって再建されたもの。
前回の鳥居の木材を根元に使いつつ、その上に伊勢神宮の遷宮によって出た古材を譲り受けて繋ぎ合わせています。
大鳥居を抜け、舗装されている参道を進んでいくと、右手に見えてきたのが二の鳥居。
こちらも渋くて味のある木製の鳥居です。
伊太祁曽神社の創設時期は不明ですが、飛鳥時代末期の文献に記載があったそうなので、それ以前から存在した古社である事は間違いありません。
当初は別の場所に建てられていたようですが、奈良時代の西暦713年に現在の場所に遷座されてきました。
すぐ正面に見える拝殿に向けて、神池に掛かる太鼓橋を渡っていきます。
拝殿に参拝する前に、まずは手水舎へ。
上を見ると、
口と手をすすぐように書いてありますが、この御時世なので手だけを清めます。
これは何の葉っぱ?
シダの葉でしょうか。
縁を囲む竹筒から出ている水で手を清めます。
屋外で手を洗うと、水の冷たさを感じる季節ですね。
石垣の上に建てられている拝殿。
一見、門や廻廊のように見えますが、中央に通路があって通り抜けられる「割拝殿」という形態になっています。
石段を上がり、拝殿の中を抜けていくと、
御祭神が祀られている本殿の前にある中門。
一般の参拝客は、ここで参拝します。
伊太祁曾神社に祀られている主祭神は、日本神話に出てくるスサノオノミコトの息子である五十猛神。
「イタケル」と読み、伊太祁曽(いたきそ)の地名の元となっています。
五十猛神が天界から持ってきた植物の種を日本全国に植えて回った事で、日本は緑豊かな土地になりました。
その功績から、五十猛神は「木の神様」として信仰を集めており、五十猛神を祀る神社は日本全国に約300社あります。
全国を巡った後に五十猛神が鎮座した紀伊国、現在の和歌山県は林業が盛んで、「木の国⇒きいのくに⇒紀伊国」の国名の元になったとされています。
また、父のスサノオノミコトと共に船を造り、人々に漁を伝えたとされる事から、大漁、造船、海の安全の神様としても信仰を受けています。
五十猛神が祀られた中央の本殿の左右には、彼の妹神にあたる大屋都比賣神と都麻都比賣命が祀られています。
右の脇殿が大屋都比賣神、
左の脇殿が都麻都比賣命。
五十猛神と同様に「木の女神」「林業・建設業の女神」とされるのに合わせ、木材を使う「建築の女神」、全国に種をまく=「生殖・出産の女神」としても信仰されています。
最初に五十猛神に参拝してから、その左右にある妹神達のところにも参拝しておきました。
(伊太祁曽神社②に続く)