美しい仏像を堪能した薬師寺を出て、次に向かったのは、歩いて10分ほどの近距離にある、こちらの寺院。
薬師寺と同じく「西ノ京」に建てられた、こちらの寺院は、
奈良時代の西暦759年、鑑真和上によって開かれた唐招提寺です。
唐(当時の中国)の高僧だった鑑真和上は、日本からの招聘に応じ、来日を決意。
しかし、その当時に海を渡る事は命がけの行動で、荒れ狂う日本海の荒波によって、渡航計画は失敗を繰り返してしまいます。
視力を失い、盲目の身になりながらも、日本に仏教を広める使命感で挑戦を続けた鑑真和上は、遂に6度目の渡航で来日に成功。
朝廷から与えられた土地に唐招提寺を開き、律宗を広めました。
「唐招提寺」とは、「唐から訪れた鑑真の寺」という意味なんだそうです。
天皇の発願(勅令)によって開かれた、いわゆる公式な寺院ではなく、個人の開いた私的寺院の色が強い唐招提寺は、通常では「南都七大寺」には数えられていません。
しかし、南都七大寺の一つである法隆寺が、一つだけ場所の離れた斑鳩の地にある為、これを七大寺から外し、その代わりに唐招提寺を加えるという説もあるそうです。
という訳で、今回は「七大寺を巡る」といいながらも、8か所目の唐招提寺も訪れてみました。
多くの建物が焼失してしまい、新しく立て直されていた薬師寺とは違い、唐招提寺には奈良~鎌倉時代に建てられた建物が数多く残されています。
太くて立派な八本の柱が特徴的な金堂も、奈良時代の創建時に建てられたもの。
1400年近くも前に建てられたものとは思えないほどに美しい状態ですよね。
堂の内部には、御本尊である盧舎那仏像を中心に、その左右に薬師如来像、十一面千手観音像が並ぶ三尊が祀られています。
建物も仏像も全て国宝指定なので、当然、堂内は撮影禁止。
それゆえ、パンフレットに載っている写真をお借りします。
こういう三尊が並んでいる場合、中央の像が大きく、左右の像は小さめになっている場合が多いのですが、ここは三尊が揃って大きいです。
堂内には、他にも梵天、帝釈天、四天王の像があり、メインの三尊を含めた九尊全てが国宝指定されたもの。
もちろん、国宝かどうかで仏様の価値が決まる訳ではありませんが、ありがたく拝んできました。
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金堂の裏、北側には、僧侶が生活・修行してした建物が残されています。
東西に大きく広がる建物は、僧侶達が修行した講堂。
この寺が作られた時に、朝廷から宮殿の一つを賜り、移築したものです。
移築後に寺院として改修され、更に鎌倉時代にも大規模な改修工事があったので、元々の宮殿としての状態からは変わっていますが、結果的に、平城京にあった宮殿建築で現在まで残っている唯一の建物になりました。
これも状態が良く、国宝に指定されています。
堂内に祀られている御本尊は弥勒如来。
それに加え、増長天・持国天の二天も祀られています。
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講堂の斜め前方に建っている二階建ての建物が、鼓楼。
「鼓楼」という名前を聞くと、城にあった太鼓櫓みたいに太鼓を鳴らす場所のように思えますが、実際は経典を保管する役割を果たしていたそうです。
また、一階部分には、鑑真和上が唐から持ってきた仏舎利を安置していた為、舎利殿とも呼ばれていたそうです。
鎌倉時代に建てられたもので、またまた国宝の建築物です。
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鼓楼の後ろ、東側に建つ長細い建物は、礼堂と東室。
元々は僧侶が寝泊まりしていた生活スペースでしたが、後に南半分が改築され、仏舎利塔や釈迦如来像を安置する礼堂となりました。
ここの釈迦如来像は秘仏なので、通常、一般公開されていません。
一年に三日間ある念仏会の時だけ、特別に拝観できるそうです。
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礼堂・東室の東側に並んでいるのは、校倉造りで建てられた二棟の建物。
同じような外見なので見分けがつきませんが(笑)、それぞれ違う役割の建物です。
手前(写真の右側)にある小さめの建物が、経典を保管していた経蔵。
奥(写真の左側)にあるのが、様々な仏像や仏具などを保管していた宝蔵。
こうやって、一棟だけの写真だと、どちらの建物だったのか不安になりますが、こちらは経蔵…だったはず(笑)。
唐招提寺が作られる以前、この土地には新田部親王の屋敷が建っていましたが、そこにあった米蔵を、そのまま改造して作られたのが、この経蔵。
日本で最も古い校倉造の建物らしいのですが、この状態で残されているのは凄いですね…。
もう一方の宝蔵は、唐招提寺の創建時に建てられたもの。
経蔵と比べれば新しい建物ですが、それでも奈良時代の建物ですから、十二分に貴重な遺構です。
これだけ古い建物が並んでいると、鎌倉時代や平安時代の建物でさえ新しく感じて、何だか感覚が麻痺してきますね(笑)。