私は『キングダム』全巻を所有していて、このブログでも、時折、同作品を取り上げる程のファンではあるのですが、同作品で物足りないなあと思う点があります。

 

それは、法家や儒家、墨家に縦横家などの諸子百家と呼ばれる遊説客の活躍がほとんど描かれないこと。

 

もちろん、『キングダム』の面白さは緻密な戦略と圧倒的な戦闘シーンを重厚に描くことにあることは重々承知しており、諸子百家のように言葉を武器とする文官が登場すると、作品のトーンが変わってしまう懸念があります。

 

なので、エンタテインメント作品としては、諸国王のリーダーシップと、その武将の武略に焦点を当てることでこそ成り立ちうるということで野暮は言わないようにしたいと思います。

 

が、連休中ということもあり、諸子百家の遊説が、諸国王の判断に対して如何に影響を与え、時には、一個の武力以上の効果を果たしたことを理解する上で、連休中ということもあり、久しぶりに司馬遼太郎『項羽と劉邦』を読んでみました。

 

大学時代以来、20年ぶりくらいの読書だったのですが、この間、中国での留学や駐在経験もあり、大学時代には持ち得なかった地理感覚や戦略・兵站の視点から新鮮に読むことができると同時に、改めて、諸子百家の弁論術や思想というものに対する認識を新たにしました。

 

残る連休で『項羽と劉邦』を一気読みしたいと思います。