昨日、明仁天皇陛下の御退位礼正殿の儀をもって「平成」が終了し、本日の皇太子殿下の即位をもって「令和」が始まりました。

 

昭和から平成へ、そして、平成から令和へという時代の移行を目の当たりにしたのですが、今回は生前譲位ということもあり、明仁天皇の御言葉がTVを通じて伝えられました。

 

在位期間中の国民の信頼と敬愛に対する謝意と我が国と世界の人々の安定と平和への祈願を御表明されたところに、陛下の深い愛情や思いやりを感じるとともに、「天」を戴く国民統合の象徴としての存在に改めて畏敬の念を抱きました。

 

歴史上、日本という国家は幾度もの大きな変化や苦難に立ち向かってきましたが、国の求心力であり、最後の拠り所である天皇の存在は大きく、令和という時代も、また易からざる時代になるとは思いますが、最後は「天皇陛下が御座す」という事実が、この国の安寧につながるものと確信しました。

 

TVに映る陛下の姿を拝見しながら、ふと脳裡に浮かんだのが、ローマ帝国五賢帝の最後の一人であり、理性と徳による治世を目指したストア派哲学者としても有名であったマルクス・アウレリウス帝の著書『自省録』。

 

「哲人皇帝」とも呼ばれるマルクス・アウレリウス帝ですが、その生涯は帝国の領土を保全するために、常に戦最前線へと赴き、『自省録』も戦場の幕舎で書かれたものと言われています。

 

「パクス・ロマーナ」による帝国臣民の秩序と平和を守るため、自らに対して高貴な義務を課し、それを誠実に実行する意思と精神の有り様について書かれたのが同書です。

 

異なる時代の、異なる国における君主の生き様なのですが、私にとっては全く別物とも思えず、かかる君主の下で生涯を送れる臣民の幸福を感じた次第です。

 

 

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