本日は大事な会議がありました。

 

 いつもは積極的に質疑応答を受けて立つ気持ちで会議に臨むのですが、今回の会議ではいつもとは異なる意図と目的をもって臨みました。

 

 そして、その意図と目的を達成することができたので、部下二人に対して、感謝のメールを、今、送信完了したところです(メール内容は以下参照)。

 

 色々と不安もありましたが、安心して後事を託すことができると、気持ちを切り替えることができました。

 

 かつて手掛けたプロジェクトでは、「引継ぎ」に失敗したことがあります。

 

 引継ぎとは文書でつなぐものではないと思っていて、目標であったり、想いであったりを、しっかりと共有して、同じ方向性で歩み続けていく意思を持たせることが大事。

 

 言葉で伝えることも大事だし、姿勢で示すことも大事。

 

 それを少し実現できた満足感を抱きながら就寝します。

 

●●主査

●●主事

 

 今夜の懇談会を踏まれば、まずは発言をした委員の方々にメールを送るべきだろうとは思うのですが、間もなく「立つ鳥」となる私が余計なお節介をするのではなく、引き続き、プロジェクトを担当するお二方に、その役目は預けます。

 

 私が嬉しかったのは、懇談会終了後に「今日の会議は良かったですね。あそこで発言をしてくれた●●●●と『鉄は熱いうちに打て』じゃないけど、早く課題解決に向けた意見交換を始めましょう」と二人が積極的な姿勢を見せてくれたこと。

 

 行政マンは、往々にして大きな会議を終えたら、そのことで満足してしまいがちなのですが、本当はその会議の内容を速やかに振り返り、次の行動につなげていくことが大事で、そういう気持ちを二人が示してくれたことが、とても心強かったです。

 

 私が異動になった後のプロジェクト運営を心配する声が、私に直接寄せられることもあるし、二人においても、色々な形で耳に届いているかもしれない。

 

 正直に言って、私が自由にやらせてもらった面もあるし、これまでの私の経験とキャリアだからこそ上手く回っていた面もあると思うので、お二方にとっては、プレッシャーが大きくのしかかっていると思います。

 

 だけど、一人で全てを担おうとするのではなく、二人できちんと議論をして、責任も分担しながら、今日のような姿勢で関係者に対しても臨んでいけば、相手はその姿勢を評価し、協力してくれると思います。

 

 忘れてほしくないのは、自分の責任はここまでと線引きをして、誰かに預けるのではなく、自分の仕事に対する誇りと自分が責任を負うんだという覚悟をもって取り組むこと。

 

 誇りと覚悟を持った人間に対しては、結局、誰かが手を差し伸べてくれます。

 

 二人で議論し、責任を分担しても、それでもまだ難しい問題があるのであれば、私が(多少は)分担してあげるので、いつでも相談してください。

 

 本日の会議では、冒頭に10分ほど、私の想いを語る時間をいただきました。

 

 公式な会議で、委員が発言をするのではなく、事務局の担当者が自分の想いを語るなんていうのは、前代未聞のパターンだったとは思いますが、私は今回のプロジェクトを単に「形を作って終わり」ではなく、そこに「関係者がプロジェクトを動かしていく意欲とエネルギー」を注入したいと考え、委員の積極的な発言を引き出すことにより、コミットメントを強くする意図がありました。

 

 それと同時に、プロジェクトを引き継ぐ二人に対しては、書類ではなく、情熱と想いをつなぐという目的もありました。

 

 このプロジェクトは、1年間、場合によっては、2年間、私の心の中のど真ん中を占めてきた問題で、●●●●から話のあったように「鹿児島経済にとっての最後の大きなフロンティア」で、ここでどれだけの需要を伸ばせるかが、鹿児島経済の将来を左右するくらいの重要事だと考えてきました。

 

 だからこそ、私も寝ても覚めても、絶えず考え続け、アイディアを求め続けていました。

 

 正直言って、考えるだけでもしんどいです。

 

 更に、そこから解決策に辿り着くために、関係者との協議・調整が待っているわけなので、全く楽ではない。

 

 だけど、これからの二人の公務員キャリアがどの程度続くかはわかりませんが、これほど大きなプロジェクトを手掛ける機会はなく、これを経験できるだけでも貴重な経験だと思います。

 

 「失敗を恐れるな!」と言いたいですが、何をもって失敗とするかは、もう一度自分で考えてみてください。

 

 私は、成果物をまとめるに当たり、関係者間で十分な議論がないまま、行政の独断と自己満足と独り善がりな空虚な成果物が出来上がり、10年後あるいは30年後に、「当時の人間は何を考えていたんだ?」と後世の人間(自分の子や孫)から責められる内容であったら、それが失敗であると考えました。

 

 今回のプロジェクトでは、何も意見が出ず、事務局案どおりに会議が進む「合意形成」を理想形とする通常の行政運営とは異なる手法を用いてきましたが、それは多種多様な利害関係者が、様々な意図や考えを持っている以上は、徹底した議論による均衡点を探る方法が、実は、最も合理的ではないかと考えるからです。

 

 たとえ、その場は反対意見なしで取り繕った様に見えても、自らの意見を封じられた怨念やマグマは地下に染みこみ、思わぬ形で、思わぬ時に噴出し、プロジェクトそのものを危機に陥らせることもあります。

 

 そうならないように、二人には関係者とのこまめなコミュニケーション、そして、時には活発な議論を心掛けてください。

 

 目の前の課題に気配りしつつ、10年後あるいは30年後の未来に思いを馳ながら、関係者とベクトルを合わせて議論していく。

 

 大事なプロジェクトを二人に徐々に託しながら、私はクロージングへと向かいます。