キャリアとは巡り合わせで、これまで経験したことはなく、そして、これからも遭遇することは少ないであろう、重要かつ大きな規模のプロジェクトを、同時期に、2つも参画する機会を得ることができました。

 

一方は、既に3年近く業務経験を積んでおり、そのプロセスにおいて、理論及び実務の面からも相当程度精通しており、「専門家」の領域に片足とまでは言わないまでも、片膝くらいは突っ込んでいる分野。

 

もう一方は、まさにこれから理論および実務面を学び始めるという段階の分野。

 

言いかえれば、自分の到達度が、それぞれ異なる分野に対して、同時に対応を迫られる状況になっているのですが、良い相乗効果が発揮できそうな感じです。

 

というのは、精通している分野については、これからステークホルダーとの調整や合意形成を始めようとしているのに、どうしても自分の知識や知見が先行しがちで、細部に入り込みすぎ、かえって、わかりにくくなっている感じがあります。

 

その傾向を抑制するのは、「自分が素人だったら・・・」という視点で、新分野をゼロから学び始たことで、どのようなアプローチがあれば、なるべく短時間の間に課題が明確になり、細部まで議論が深まるかという論点整理のあり方を再考するきっかけになりました。

 

その気づきとは、ひと言で言えば、多くの利害関係者が関わり、多種多様な意見が想定されるのであれば、まずはコンセプト作りから始めるべし、ということ。

 

しかも、それが、わかりやすいメッセージ性を有しており、利害関係者のモチベーションを上げて、明確な目標たり得るようなコンセプトである方が望ましいということ。

 

機能面からのアプローチであれば、結局は、機能を付加するか、しないかという、足し算引き算あるいはメリット・デメリットの議論にしかならないし、現状・課題面からのアプローチであれば、漸進的改善(改良)に止まり、イノベーションに発展しない可能性が高くなると考えます。

 

地に足の付いた意見交換を行い、「コップの中の嵐」にならないようにするためには、利害関係者の目的意識や目標を一致させ、次の具体的な行動に結びつくようなコンセプトを掲げるべきだ、というのが私の現在の考え。

 

そして、それは「積み上げて、調整する」という、本来あるべき行政マンの姿からはかけ離れたアプローチであり、むしろ、デザイナーやマーケターの業務領域に関わるようなことかもしれませんが、今回のプロジェクトは、「まずはコンセプトありき」ということで、仕事を組み立てていきたいと思います。

 

このアプローチが失敗するかもしれませんが、創造性を高め、独自性を発揮するためには、今までの手法とは異なるアプローチでないと整理しきれないと感じている自分自身がいます。