イタリアの政治の行方がEUを揺るがしています。

 

別に、私がイタリア好きだから、イタリアの政治に注目しているわけではなく、海外ビジネスにおいて、イタリア政治が波乱要因になっているため、主要紙でイタリアの政治情勢に関する報道がなされています。

 

  • The Economist:「今回は権力を欲するイタリア5つ星運動」 (2/17)
  • 日本経済新聞:【経済教室】「混迷欧州の行方(上)イタリア 反EU政権誕生も」(3/21)
  • FINANCIAL TIMES:「イタリア ポピュリズム躍進」(4/3)

 

米国、中国と並ぶ世界経済の一角を担うEUを揺るがす問題になっており、英国のEU離脱に続く国として、イタリアが、最も可能性が高いと見られています。

 

万一、イタリアが英国に続くようなことになれば、EUは崩壊という最悪のシナリオを辿ることにもなりそうなので、イタリア政治の情勢から目を離せない状況となっています。

 

私がそんなイタリア政治に一層興味を持つようになったのは、民衆と政治との関係、すなわち、ポピュリズム的現象が早々と現れていたため。

 

1990年代のイタリアの政界で、ポピュリスト(大衆迎合主義者)として、数々のスキャンダルで批判を浴びながらも、国民から支持されてきたシルヴィオ・ベルルスコーニ。

 

数々の伝説となっている発言や行動がありますが、その中でのお気に入りのいくつかを御紹介するだけでも、愛すべきキャラであることを御理解いただけるかと。(「正直すぎるおっさん『ベルルスコーニ』の失言・伝説集

https://matome.naver.jp/odai/2135949150633314201?&page=1より引用)

 

【全国紙で報じられた浮気問題に関する妻への公開謝罪文】

「親愛なるベロニカへ。許して欲しい。こうやってみんなの前で謝っていることが、君への愛の証だ。仕事、政治、様々な問題、出張…プレッシャーの毎日だった。クレイジーな日々だったんだ。君にもわかるだろう。君の尊厳は、そのこととは一切関係がない。私の口が軽はずみなジョークをまくしたてる間にも、私は君の尊厳を第一に考えている。でもこれだけは信じてほしい。プロポーズは一切していないということを。君にビッグ・キスを。シルビオより」

 

【薄毛の新聞記者に対する挑発】

あなたがなぜそんなに怒っているのか分かるよ。毎朝、鏡の前で髪の毛をとかすと、1日が憂鬱になるんでしょう。

 

【米国のオバマ大統領からの祝電に対する発言】

アメリカ合衆国の誰かさんから祝電が届いております。何て名前だったっけ? あの日焼けした男。ああ、バラク・オバマだ!

 

失言に、利権や汚職、2度の公職追放と、ポピュリスト政治家として余すことなく才能を発揮して、一時期は政治家として失脚をしていたのですが、今回のイタリア総選挙で、同氏が率いる政党フォルツァ・イタリアが、一躍政局のキャスティング・ボードを握りつつあります。

 

一緒に飲めば、とても愉快なおっさんとしか思えない水準のベルルスコーニ氏が、一国の命運を握る政治家として存在感を出し続けることを許容し、支持し続けるイタリア国民。

 

それを単なる「ポピュリズム」と指摘するのは簡単ですが、かつてのドイツ・ナチズムやイタリア・ファシズムが、国民の狂気や政権によるプロパガンダによるものではなく、ブルジョア資本主義と共産主義がもたらしたものに対する大衆の絶望から発したものであったことを理解した私にとっては、そのポピュリズムの背景や根底にあるものを見極めたいという思いがあります。

 

そうした中で、最近購入したのが、こちらの本。

 

 

先般、ムソリーニに関する本も読み、ベルルスコーニ氏も、ある面ではムソリーニを評価しているので、ムソリーニとベルルスコーニの人物比較を試みたいと思います。