最近、訪日外国人誘客(インバウンド)対策で、評論家らしき人々が、したり顔で語る「『インスタ映え』する観光地づくりが重要だ」という提言。

 

かく語る評論家は、実は、マーケティングがわかってない御仁が少なくありません。

 

というのは、マーケティング戦略の中には、プッシュ戦略(商品を消費者に売り込んでいくアプローチ)とプル戦略(消費者の興味・関心を引き、消費者側からアプローチさせる)があり、インスタグラム等のSNSを活用したPRは、どちらかと言えば、プル戦略に所属します。

 

なので、「インスタ映えします」なんて言い出した瞬間に、感度の高いインスタグラマーからはそっぽを向かれてしまい、取り上げてくれるのは、フォロワーの少ない、影響力の小さなユーザーばかりということになります。

 

したがって、素晴らしさや面白さ、美味しさに、価値なんていうものは、供給者側が奇をてらったことをしようとすると、かえってチープな感じで受け取られる可能性があるので、余計な小細工をしないこと

 

鹿児島市内の街中を、著名なインスタグラマーと歩いていた際に、見掛けた看板ですが、「『インスタ映え間違いなし』なんて書かれていると、その時点で、自然素材そのものではなく、人工的なものとなり、日本どこでも見慣れたものになってしまう」と、そのインスタグラマーはドン引きしていました。

 

 

多分、「インスタ映え」だけでなく、「パワースポット」なども、誰もが自然にそう感じてしまえるような環境やデザインが重要なのに、自ら「パワースポット」なんて喧伝を始めてしまった途端に、俗っぽさに塗り固められてしまい、本来、備わっていた「居住まい」や「佇まい」が損なわれてしまうんだろなと

 

「鹿児島はPR下手」とよく言われるからといって、自己主張を声高らかにすればいいものではないだろうと。

 

PRのあり方や方法についても、感性や美的感覚が必要な時代ではないかと考えます。