「カエサル英侵攻の初の証拠か、英大学チームが発見」というタイトルが目を引きました(

http://www.afpbb.com/articles/-/3153400

 

古代ローマの将軍カエサル(歴史家モムゼンをして「ローマが生んだ唯一の創造的天才」と言わしめる)が、自ら執筆した『ガリア戦記』の中でも描かれているブリタニア遠征。

 

第4巻「4年目の戦争(紀元前55年)」で第一次ブリタニア遠征が、第5巻「5年めの戦争(紀元前54年)」では第二次ブリタニア遠征が書かれています。

 

ブリタニア遠征は、ガリア部族とブリタニア人との連携を阻むために、カエサルが戦略的観点から行った遠征ではありますが、ガリア諸部族との戦争と比較すると、カエサルの探検心みたいなものが滲み出ていて、ハラハラドキドキが続く『ガリア戦記』の中で、一服の清涼剤的役割があります。

 

このブリタニア遠征によって、イギリスの知識人は、自分たちが蛮族の末裔ではなく、古代ローマ帝国の影響を受けた文明国であったことを自負できるわけです(笑)

 

『ガリア戦記』のハイライトといえば、ガリア諸部族の中から、全部族を統合できる英雄であるウェルキンゲトリクスが登場して、カエサル率いるローマ軍と正面切って闘うアレシアの戦いといえます。

 

自軍に数倍する敵と闘うに当たり、彼我の戦力差を埋めるために、テクノロジー(土木技術)を駆使して、効率的な戦略運用を実現したローマ軍が最終的な勝利を収めます。

 

しかし、この闘いで勝利を収めたのは、テクノロジーというよりは、現場の責任者ともいうべき百人隊長が、現場判断で危機に対処できたことにあります。

 

カエサルの『ガリア戦記』を読めば読むほど、情報の収集・分析や効率的な戦力運用、そして、緻密な戦略構築の重要性を学ぶことができます。