フランス・ニースで発生したテロ事件報道のサーベイをしているところに飛び込んできたトルコにおける軍クーデター。

日本時間で21時時点では、エルドアン政権が秩序を取り戻し、クーデター失敗という結果に終わりそうです。

http://www.wsj.com/articles/turkeys-erdogan-reasserts-control-after-attempted-coup-1468658670

現在のトルコは、第一次世界大戦でオスマントルコ帝国崩壊後に、青年トルコ党のムスタファ・ケマル(ケマル・アタテュルク)がスルタン制を廃止して、建国された共和国です。

その特徴は、宗教と政治を分離した政教分離であり、「世俗主義」ともいうべき現実路線でした。

この世俗主義によって、トルコの近代化は果たされるとともに、他のイスラム教国とは一味異なる国家体制を築くことができました。

しかし、現在の政権を担うエルドアンは、どちらかといえば、イスラム化を志向しているのですが、これまで共同歩調をとってきたイスラム教をベースとした市民運動グループと(指導者フェトフェラー・ギュレン師の名前を借りて「ギュレニスト」と呼ばれています)対立路線を強めており、今回のクーデターも、彼らギュレニストの関与が疑われています。

いずれにせよ、現在、シリアからの難民が大量にEUに流入しないように、ある意味、トルコが「調整弁」の役割を果たしていたので、このクーデターが成功して、トルコが混乱した場合には、シリア難民の一斉流入によって、EU離脱派で国内政治が不安定になっているEU各国の困惑と混乱を増大させたことは容易に想像できます。

一方、モンゴル・ウランバートルで開かれていたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議では、「海洋の安全保障や国連海洋法条約に従った紛争解決」の重要性を明記した議長声明を採択して閉幕しました。

南シナ海での中国の領有権の主張を否定した常設仲裁裁判所の判決を「紙屑」と罵倒した中国政府に対して、判決を尊重するよう促す内容でした。

中国では習近平の独裁志向に対して、党内部でも反感・反抗が高まっているので、今回の外交失敗を批判材料として対立が激化、それによって国内政治が不安定化するのを回避するため、対外的に強硬な姿勢を打ち出す可能性も低くありません。

海外で色々ときな臭い動きが目立ってきたので、一つひとつのニュースをしっかりフォローしていきたいと考えます。