中国経済の構造変化を端的に表す言葉として、世界の「工場」から「市場」へというのが言い古されていますが、なかなか地元の中小企業には伝わってないという印象を受けています。

最近、某製造業から寄せられた相談の中で、「展示会などで現地企業からの引き合いも多いので、現地に工場を建設して、製品の生産・拡販を図りたい」というものがありました。

曰く「中国では内陸市場にまだまだ潜在需要があって、引き続き拡販が可能」という鼻息が荒い社長。

製品の仕様や品質をヒアリングする範囲では、オンリーワンの技術を活かした製品で、なかなか面白いと思いましたが、問題は、現地生産をする必要があるかということ。

製造業についていえば、従来の安価な人件費を目的とした工場進出は、労働力不足による人件費高騰で採算が取れないし、かつ、労働争議など労務管理コストも大幅に増加しています。

さらに、現地生産を行うということは、現地の法律や会計制度に精通する必要があり、危機管理上の対応・態勢も軽視できません。

こちらの記事を読んでもわかるように、東証一部の上場企業でさえ、無謀な投資になっている状況です。


http://facta.co.jp/article/201508003.html

ここらへんの状況を踏まえて、地元の中小企業に対して、「現地生産ではなく、鹿児島からの輸出にとどめること。現地企業と提携する場合も、合弁企業の立ち上げではなく、代理店契約にすること。パートナー企業の選定に当たっては、相手の言い分を鵜呑みにするのではなく、信用調査や財務諸表の検査などを丁寧に実施すること」を私からアドバイスしました。

要は、「中国現地への資本投下(投資)はやめなさい。チャレンジするのであれば、現地パートナーを介した間接投資にしなさい。」ということ。

「信頼できるパートナーだから大丈夫」という言葉で失敗してきた企業をたくさん見てきたので、多少厳しめの意見でしたが、受け入れてもらえるかどうか…。