「何を練習したらいいかわからない」「練習しているのに上手くなる気がしない」そういう悩みを持っているアマチュアジャズミュージシャンは、けっこう多いと思います。

僕の教室でやっている練習法の一例を、文章だけでどこまで説明できるかわかりませんが、ご紹介してみたいと思いますので、よかったら参考にしてみてください。

テーマを演奏する練習というと、初心者の方なんかは特に、楽譜を間違わずに演奏できるようになることを至上命題と捉えている人も多いと思うのですが、それはちょっと脇に置いていただいて、こういうことをあなたはできるかどうか試してもらいたいのです。

まず状況を設定します。
そうですねぇ、「枯葉」をミディアムテンポで演奏することにしましょう。

最初Aメロは落ち着いて2ビートで始めたい。
サビのBメロは変化をつけたいので、4ビートにしたい。
アドリブ1コーラス目は、また落ち着いた感じで始めて、途中から徐々に盛り上がっていきたいので、Cメロ時点ではもう一度2ビートに戻しておきたい。

このようにシミュレーションしたとして、あなたは事前に全く打ち合わせすることなく、テーマを演奏する音だけで、そのイメージを共演者に伝え、結果としてビートを変化させることができるでしょうか?

どうやったらAメロを2ビートで始まる雰囲気にできるのか?

どうやったらサビを4ビートに持っていけるのか?

どうやったらCメロで2ビートに戻せるのか?

再現音楽ではもちろん、どう演奏するかをしっかり打ち合わせするのですが、ジャズは即興音楽と言われています。なぜなら、事前に打ち合わせすることなく、演奏している音の情報だけで、意思を伝達しあって演奏してしまうという音楽だからです。

ですから本当は、アドリブでもそういうことが行われいるのですが、それは初心者には無理だし、中級者でもかなり難しい。でもメロディがある程度決まっているテーマであれば、音だけで自分の意思を伝える練習ができると思うんですよね。

ただここで注意しておきたいのは、本番のセッションで、周りがプロのホストばっかりの時は、これが「できた!」と勘違いしやすいということです。
ホストはあなたに「気持ちよく演奏させてあげて、また次回も来てもらおう」などと考えてることも多いので、あなたの演奏をかなり忖度します。
逆に周りのメンバーがアマチュアの時にこそ、ちゃんとできてるかどうか試されると思った方がいいでしょう。

2ビートで始まり、サビから4ビートにして、最後は2ビートに戻すということを考えながら、枯葉のテーマを演奏してみる。
これができるようになったら、それだけで楽しいし、他の曲にも応用しやすい。
そして、これがわかってくれば、いろんなことが見えてくるかもしれません。
是非お試しください。