なぜ「排泄」に快感が備わっているのだろう。 -9ページ目

なぜ「排泄」に快感が備わっているのだろう。

排泄(くしゃみ、せき、あくび、嘔吐、涙、排尿、排便、射精、放屁、膿、瀉血、オイル交換、脳腫瘍摘出)。「出す」ことは快感を伴う。

井上ひさし「百年戦争〈下〉」 234頁

 

「霜焼はかゆい。だからポリポリ掻く。こりゃあ気持ちがいい。わしは徹夜で掻きつづけたこともあるぐらいだが、こんな楽しみを与えてくれるものが、ほかにあるかね」

「…」

「水虫はいっそう楽しい。足指の股のところが白くふやけ、やがて穴があく。その穴のまわりの皮を毟る。すると皮がポロポロ剥けてくる。あれはじつにいい気分のものだ。霜焼と水虫。このふたつがなくなったら、わしは寂しさのあまり死んでしまうだろうよ」

 

なんと甘美な表現だろう。

水虫になりたい。

 

百年戦争〈下〉 (講談社文庫)