またしても、突然割り込んできたシセロ。
プレゼントがあると言っている。
セロは、思わず身構えてしまった。
以前、何やら血生臭い物を、ルナに渡しているのを見たからだ。
ところが、ぽんっと渡されたのは人形だった。
「これは・・・・、まさか・・・・。」
と、人形を見てセロは口籠った。
人形は、キチンの兜らしきものを被っている。
さらにシセロは、ルナにも人形を渡していた。
こちらはネコの人形だ。
どうやらシセロは、その人自身の人形をプレゼントしている。
どれも、へたかわいい![]()
シセロは、セラーナにも渡した。
「これは・・・・、誰ですの?」
と、セラーナは人形を見ても、全く解っていない。
シセロが、もちろんセラーナだと言うが、
「わたくしは、こんな姿ではありませんわ。」
と、真面目に答え、シセロと言い合いになっている。
その様子が可笑しくて、セロは思わず笑ってしまった。
すると皆が珍しいものを見る目で、セロを見ていた。
セロはどうしたのかと思ったが、自分が声を出して笑っているからだと気付いた。
声を出して笑うなど、いつぶりだろう。
「今日は、奇跡がたくさん起きる。
そうだ、シセロにも起きるんだ。
シセロは聞こえし者になったんだ。
夜母に会いに行かなくちゃ。
夜母が待っている。
ひゃひゃひゃひゃ・・・・」
と、シセロは言い、物凄い勢いで帰って行った。
気が付くと、夜明け近くになっていた。
空が白み始めている。
「全然、私に似ていませんわ。」
と、まだセラーナは言っていたが、ちゃんと人形を仕舞っていた。
彼女はそろそろ寝る様子で、宿屋に向かっていた。
が、途中でお皿を持って、引き返してきた。
「わたくしも、渡すのを忘れていましたの。
あなたの分を、取っておきましたわ。」
と、セロにケーキを差し出した。
「皆でクリスマスケーキというのを作って、食べましたのよ。
でも、私は手伝わせて貰えませんでしたの。」
とセラーナは言って、さっさと行ってしまった。
どういうことかと、セロはルナを見た。
皆でケーキを作ろうとしていたが、セラーナが美味しそうな血を入れようと言い張ったのだ。
そんな事をされてはたまらないので、セラーナは締め出されたらしい。
それを聞いて、セロはまた笑っていた。
今日は、本当に奇跡がたくさん起きる日だ。
朝日がセロを照らした。
クリスマスの朝だ。
1つ1つの奇跡が、セロを変えて行った。
頑なだった心が解け、人との距離が近くなったとセロは感じた。
新しく神聖な一日の始まりだ。
おわり
