8月5日
午前6時10分
雉虎猫は街路樹の枝に止まった何か(蝉?)に、狙いを定めた。
雉虎猫はなんきんはぜ(南京黄櫨)の幹を勢いよく駆け上った。
雉虎猫は青葉の茂る枝を素早く這い上った。
そこから、
雉虎猫は隣の枝へ跳んだ。
しかし蝉を捕えることはできなかった。
雉虎猫は不安げに鳴きながら枝の上で向きを変えた。
雉虎猫の動きにつれ、
剥がれ落ちた木の皮か、花か。木屑のような欠片がはらはらと落ちた。
雉虎猫は鳴きながら南京黄櫨の枝を降りた。
幹の途中まで来ると、雉虎猫は思い切りよく飛び下りた。
何事もなかったかのように、雉虎猫は道路の向こうを眺めた。