17日金曜日。
5日ぶりに父の病室へ。

面会時間は終わり、部屋は暗く、テレビの明かりとそれに背を向けてベッドに横たわる父。
その横にはパイプ椅子に腰掛けている母の背中。

二人とも力なく、でも何でかな・・・温かな、二人だからの空気。


母が私に気づいた。
しばらくして父も。

トイレに行きたいとナースコールを押す父。
私に歩く姿を見せたいのか。


戻ってきて手を洗う父。
A型。

麻痺の残る左手は洗わないまま右手だけでの動作・・・
母が横からすかさず笑顔で洗う。
自分でタオルで手を拭き、タオルは・・・放置。


母が「リハビリ。タオルかけにかけて」と。
父「・・・」無言でタオルをかける、右手だけで。

イライラしよる・・・
横から父の左手を持ち、片方を引っ張り手伝う母。


父は「疲れた、きつか。」とベッドにバタッ。


母の「トイレ行って、疲れてスッキリ眠れるね、よかったね」
父「うん、そやね」


昔なら母のこの行動一つ一つにきっとキレていただろう父。


母さんがうちの母さんでよかったねと言った私に、

「そうねッ」と照れ笑いしながら言った父。

確かにここには愛があった。
愛がある。


絆がある。