ヤマト運輸がドライバーの負担軽減を理由に一般依頼主向けの料金を値上げし、法人依頼主と料金値上げ交渉を開始した。報道されているように、きっかけはAmazon等のネットショッピングの拡大による貨物量の急増と、配送日指定を守るための再配達量の増加という。
確かに、これらの要因は大きいのであろうが、ヤマト運輸の記者発表や幹部会見を見て感じたのは同社の狡猾さである。そもそもAmazonの配送をライバル企業から奪い、貨物量を飛躍的に増大させたのは経営判断であり、ドライバーの負担が増えるのは十分に予想していた筈である。その対策としてドライバーや配送車両を増やしたり、効率を高める施策を同時に採るのが経営者の勤めであろう。
それを怠って、条件競争で他社から奪ったことで利益率の低いと思われるAmazonの短期日・時間指定配送が負担となったと訴えるのは、ドライバー過剰労働への批判の矛先を経営陣から外部に向けさせる方便としか、私には見えない。
電通の過剰労働が大問題となり、法的責任も課される中で、自社ドライバーに過剰労働を強いている事を自覚しているヤマト運輸は、先手を打ってAmazonをスケープゴートとして自発的に動いたのではないかと察する次第である。決算を大幅に悪化させるような、ドライバーへの過去の超過勤務分給与を支払うことを、いち早く発表したのも、自社経経営陣に火の粉が降りかからないための弥縫策と見えてしまう。まして、料金値上げまで発表したのは過剰労働解消という時流に乗った看板を用いた、経営努力の放棄に近い行為であると考える。
自社判断で負担を抱え込んだにも関わらず、世間の雰囲気を利用することで結果的に世論をバーゲニングパワーとして荷主との価格交渉を有利に進めようとするのは、余りにも身勝手な企業行動と言って良いであろう。ヤマト運輸の経営陣は先ず経営判断を誤ったことを素直に謝罪すべきであり、大手荷主への責任転嫁は筋違いである事は見透かされると自覚すべきである。
2017/04/30
