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太宰さんは自殺をテーマにした自伝的な作品を他にも書いているが、
たぶんその中では「人間失格」が最もまともで面白く、救われようのある内容だと思う。
そしてひっそりと併載されている「如是我聞」がなかなか必死で笑える。
志賀直哉に象徴される既成の文学の権威を批判した評論であるが、
執筆時点で決して主流派でなかった太宰は、今や志賀とは比較できない存在感を持っている。
反主流派だった作者はあの世で、広く支持されるようになった現状をどう感じているのだろうか。