5つ星のうち 4.0 愛と信仰。,2010/1/2

頭デッカチなインテリ男女を主人公に据えた、衒学的恋愛論風の恋愛小説である。

ジェロームの一方通行的な慕情に対し、
アリサのほうも本末転倒でトンチンカンな信仰心で応える。それが非常に滑稽である。

アリサは愛が信仰を妨げているというが、
それはまた信仰が愛を妨げているということも意味する。
しきりに神様を讃えてみせるものの、詰まる所は自己満足でしかない。

「死は生きていたとき離れ離れになっていたものを結び付ける」というようなことをアリサが言っていたが、
この言葉に対して私は、「衒学的な恋愛論恋愛バカ」と「自己満足のための信仰バカ」は死ななきゃ治らないのかな、と思った。
死後の神の国に期待するようではなんとも仕方ない。信仰を現世を生きることの支えにできなくてどうするのか。

とりあえずは軽い気持ちでお読みになられたし。
本の内容を気に入るかどうかはさておいて、簡潔で非常に読み易い文章と綺麗な文章フォントはストレスを感じさせない。
本当にサクサク読める。