夫婦善哉
木の都(講談社文芸文庫版未収録)
六白金星
アド・バルーン
世相
競馬

表題作に出てくる柳吉さんは、
私が今まで読んだ全ての小説の中でも指折りのクソ野郎であった。

そのクソ野郎を折檻しつつ、
ひた向きに愛して小遣いまでくれる蝶子さんは神にも等しい存在に思われた。
昨今の美少女ゲーム・アニメに出てくるツンデレ少女も真っ青の献身である。
男にとって都合の良い女性像も、ここまで来ると大したものだ。

独特の足早な文体、大阪の風俗の描写(特に食べ物の描写)、
そしてラストシーンは非常に良かったと思うが、
不朽の名作扱いされる価値があるのかどうかは甚だ疑問である。
何がそんなにも蝶子を柳吉へ向かわせるのか、全く分からない。

夫婦善哉 (新潮文庫)/織田 作之助
¥420
Amazon.co.jp