この本は、昭和63年に書かれた者で、車好きの僕は

       何回も読んだ本です。

       僕も年なので、人生最後の一台の参考に、と思って

       読んでみました。

       9話で構成されていますが、当時の著者の恋の話など

       ”そうだったな〜”を頷ける内容です。

       9人の女性たちを彩る9台の車・・・・・。

       ときは流れても「車と恋」とてもロマンチックに感じました。

 

       車にそんなに関心がなくても、サラッと読めますので

       ぜひ、読んでみて下さい。

     

       第1話 黄昏れ色のシムカ

       第2話 アルフア・ロメオの月

       第3話 アマゾンにもう一度

       第4話 バイエルンからきた貴婦人

       第5話 翼よ!あれがパリの灯だ

       第6話 ビッグキャットはしなやかに

       第7話 怪物グロッサーの孫娘

       第8話 時をパスするもの

       第9話 白樺のエンブレム

 

       ですが、各々の車と当時の恋人との事が書かれています。

       

       僕も若かりし頃、仕事が終わった頃に、当時の恋人を乗せて

       東名高速から横浜・芦ノ湖・また、富士五胡からの中央高速

       を夜中の2時頃飛ばした事(その当時は、車の通行はあまり

       なかった)事を、想い出します。

 

       中央フリーウエイを高尾方面から八王子方面へ下ってくると、

       高速道の橙色の街路灯が、点々と右カーブを描きながら続きます。

       周りは民家の灯や街路灯の灯りが星のように散らばり、その

       中をカーラジオ(FEN)から流れるジャズを聴きながら高速道

       を疾走すると、まるで飛行機に乗っているような、気分でした。

       

 

       書評ですが、ぼくが書くまでも無いので、当時の帯を2〜3

       紹介させて頂きます。

 

        森瑶子氏

       この小説を読んで、車に対しても、男性心理に対しても、

       いかに自分が無知であるかを思い知らされた。

 

        わたせせいぞう氏

       運転席と助手席の数10センチのキョリに揺れるドラマ。

       雨の日にやって来たボクの小さなトライアンフTR3にも今、

       少し大きなドラマを信じたくなった。

 

        村上龍氏

       晴れた日には永遠が見えるが、<雨の日>にはロマンが

       見える。

   

        松本葉氏

       乗り終わった時の、手の中に残るシフトの感覚や、

       背中で感じる室内の様子、耳の奥に潜むエンジン音、

       頭の芯が捉えた加速感--。

       そしてクルマたちが、主人公の揺れる人生と時代を、

       なんとあざやかに表現していることか!

       五木寛之はまさしく、人間と車と、そして時代の三者を、

       正確に語って来た唯一の作家といえるのではなかろうか。

 

 

       他に、森田芳光氏・山田詠美氏・中沢新一氏・吉本ばなな氏

       などが感想を書かれています。

 

 

       興味をお持ちでしたら、昔の本ですが読んでみてください。