私は、日本航空の経営再建問題について、報道以上の資料はもっておらぬので、正確な判断材料を持ち合わせぬが、実は私の家族が日航に勤めていたことがある(ちなみに勤続年数が少ないので年金の対象にはなっておらぬ)ので、ちっとばかし雑感を。
実は日本航空は、約20年前から例えば地上職業務を外部委託するなど、いわゆるアウトソーシングでは、かなり早い段階から手をつけておった会社である。今のCAなんかも日航社員の形じゃない人が多いんじゃないかな。正確には知らぬが。
で、企業年金問題が大きく報じられておるが、ここら辺は政治的な立ち位置によっても考えが変わるであろうし、おそらく、公的支援を行うための国民感情に配慮した措置であり、問題の本質そのものではないと考えておる。
ま、財務資料を事細かに検討していない私の私見であるがな。
結局は、前原国土相も言っておったように、不採算空港をバンバン作り、日本航空に通常路線の飛行機を飛ばせ、と言っておった今までのやり方が経営危機を招いた非常に大きな問題ではないかと思っておる。
私の家族が日航に勤めておったころからも、日本航空は路線を採算が合わないからといって簡単には切れないと言っておった。当時は、まだスカイマークなどがなかった時代であるが、ドル箱路線だけを飛ばしておれば採算はとれるのである。
しかしながら、日本航空はある意味国策会社であったわけで、そうじゃなくなってからもナショナルフラッグキャリアとしての地位をある程度引きずらざるを得ない状況にあった。
んで、今空港建設については、特別会計問題が表に出てきておるが、これが問題である。ま、いろいろなところがあるので、極めて単純化して乱暴にいえば、世界的にみてもバカ高い空港使用関係の費用を、不採算空港についても徴収し、そういったお金をプールして、ガンガンまた不採算空港を建設してきたわけである。
そういった膿が隠しようもなく一気に顕在化してきた。いや、こんな問題は何十年前から分かっていた問題なのであるが、さすがに覆い隠しようがなくなったというべきであろうか。
経営再建について検討してきた専門家チームが、つなぎ融資は不要との意見を出しておったが、政府はつなぎ融資にえらくこだわった印象があるのは、ここら辺が関係しておるとみておる。まあ雑感だがな。
日本航空に関しては、空港使用料の支払猶予の話もでておったのであるし、うがった見方をすれば、つなぎ融資にこだわった理由はナンボでも出てくるであろう。正確なところは報道以上の資料を有していないので分からぬが、正直私もがっかりしておる。株価とかの問題もあるかもしれぬが・・・。
まあ、私も空港がない地方の知事にでもなれば、「我が県に空港を!」とか言っちゃうであろうから、そう事は単純ではないが、日本航空の経営再建問題を考えるにあたっては、これまでの国の方針を無視はできぬであろう。
なにも日本航空を被害者扱いする気はさらさらないが、一私企業の経営破綻問題と単純に割り切るのも事の本質から目を背けているようでイヤだ。
ま、いずれにせよ、日本航空はこれからは、大手を振って不採算路線をガンガン切っていく大義名分を手に入れたわけだ。そうすると、今後の地方空港の運営も無関係ではない。んで、一般会計化も検討と国土相は言っておるわけであるが、それだけで解決する問題ではない。システム自体をキチンと見つめ直さねばな。要は今まで航空機を正規航空運賃で利用していた乗客達が、「なんや、俺たちの高い航空運賃のからくりはそんなところにあったのか!(特に大都市圏の人々)」と怒りの声を上げる覚悟のもとに、数十年来たまってきた膿をドパーっと出してシステムを再構築していかなければならぬ時期に来ておるのであろう。
今回の問題を機に、日本航空の健全な再生と、今後のよりよき航空行政が実現されることを望むが、結局はなあなあのところでお茶を濁されてガッカリするのであろうな。
まあ、もう一波乱あれば、株主優待制度が維持されることを祈って日本航空株を買ってみるか。
M弁護士