きのう、ある方の言葉から、そういえば、と思ったことがありました。

 

 

「ご飯ができたよ」

 

 

ご飯って、自然発生的に「できる」ものではないですよね。

誰かが作ったから「できる」。

なのに、わたしも毎日家族にこういってます。

 

 

「ご飯できたよ」

 

 

助詞すら省略。

お茶を淹れたときも

 

 

「お茶はいったよ」

 

 

毎日、なにも問題なく通じています。

実際は、ご飯はわたしが作っているし、お茶もわたしが淹れているのに、なぜそういわないんでしょう。

 

 

「わたしご飯作ったわ」

 

「わたしお茶淹れたわ」

 

 

このセリフとともにご飯やお茶が食卓に出されることを想像すると、やっぱりなんだか、違和感がありますね。

家族はいうかも。

 

 

「あ、あ...そう?」

 

 

感謝はしてくれるかな。

 

 

「あ....ありがと」

 

 

いすれにしてもとまどうでしょうね。

わたしがいわれたとしても、きっとそうなりますから。

 

 

(なんだろ、ママ機嫌悪いのかしら)

 

(いきなり恩を着せてきたけど、なにかあったんだろか)

 

 

日常会話で、主語がわかりきっているのにあえて入れて話すと、杓子定規になったり、まさに恩着せがましくなる。

日本語にはそんな性質がある、と考えてもよさそうです。

 

 

わたしは文章教室の最初に必ず、生徒さんたちに、ご自分の遣ってきた一人称について考えてもらうことにしています。

 

 

たとえば「私」を遣ってきたならば、それはいつからだったか、選んだ理由はなんだったのか。

 

 

時期や理由をはっきりさせることが目的ではありません。

一人称を文章のなかの自分の分身として活躍させるための最初のステップです。

 

 

生徒さんへの質問やそこからの会話で、一人称に意識が合ったところで、きょうから遣う新しい一人称を選んでもらいます。

これまでと同じ一人称でも構いません。

「選びなおす」ということだけが大事だからです。

 

 

実際は、選びなおしてこれまでとは違う一人称に決める生徒さんのほうが若干多いかな、という印象です。

いずれにせよ、選択はまったくご本人の自由です。

 

 

それくらい「文章を書くには一人称が最重要」と思ってきたわけですが、それだけに、きのうの「ご飯ができたよ」にははっとさせられました。

 

 

相手の気持ちをフラットに保つためや、場の和やかさのために、わたしたちは一人称を遣わないで話すことがある。

そのこと自体意識したことがないほど、自然にそうしている。

日本語の奥深さをいまさらながらに感じました。

 

 

話すときだけではなく、書くときにもそういう配慮は十分に働いていることでしょう。

一人称という分身がちょっと言葉の陰に隠れるときもある。

なにがなんでも外に出てきなさい、というと、さっき書いたように、

 

 

「わたしがご飯を作ったわ」

 

 

みたいな、ぎこちない、ともすれば唐突な文になるかも知れません。

でも、隠れるんだからどんな姿形でもいい、ということではなくて、隠れることもあるからこそ、ルックスもキャラクターも自分らしく設定したいものだと思います。

 

 

シャイなあなたの分身はどんな人でしょう。

見つけたら、ぜひわたしにも教えてくださいね。

 

 

ちなみにわたしの「わたし」はこんな感じです↓

 

 

 

 

「羽生さくるライティングセッション」というメニューもございます。

 

 

2時間の対面やzoomでのインタビューからテキストを起こしてフィードバック。

ご自身のこれまでの棚卸しや、頭や心の整理にお役立てください。

 

 

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一人称を選びなおして、自分らしく自由に書きはじめるための、

 

「羽生さくるの文章教室」個人授業を開催しています。

 

 

4回でプログラムを構成しました。

各回120分の対面スクーリングです。

場所は都内のカフェなど、オンライン受講も可能です。

第1回 ライティングの基本とワーク

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第3回 800字エッセイの添削・講評

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