鉢野在流はライトノベルがお好き!? -26ページ目

鉢野在流はライトノベルがお好き!?

ライトノベルを中心に創作、批評、文章研究などを書いていこうと思ってます。物書きからの目線で物事を見定めるようシンプルに分析できれば、と。

ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンKC)/幸村 誠
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 ――11世紀 初めの西ヨーロッパフランク王国 領。この時代、ヨーロッパの海という海、川という川に神出鬼没に出現し、恐るべき速度で襲撃と略奪を繰り返す北の蛮族、ヴァイキング は 人々の恐怖の的だった。その日も、とあるヴァイキングの集団がフランク領主同士の小競り合いに乗じて包囲されていた都市を瞬く間に落とし、蓄えられていた 財貨を残らず奪い去っていった。この略奪はアシェラッドという男が指揮する兵団の仕業で、その中に2本の短剣を武器にする凄腕の少年がいた。その名はトル フィン。今回の襲撃で敵指揮官の首を取る戦功を挙げた彼は、見返りとしてアシェラッドに彼との決闘を求めるのだが……

 この作品の見所は、ストーリー。主人公トルフィンが何故、ヴァイキングの仲間にいて、頭領アシェラッドの首を狙っているのか、それには悲しき一人の戦士の物語があるのです。極寒の地で生きる男達の物語、戦士とは愛とは、勇敢に戦い死ぬ男達を迎える神の国ヴァルハラとは……生と死が隣り合う時代、新天地ヴィンランド(草原の国)を求める人々の物語。

 お気に入りのシーンは、アシェラッドの仲間達への告白のシーンですね。いつも飄々としていたキャラクターが実は心の奥では常に気高い気持ちを忘れずに、いつか、アヴァロンより帰還する真の王に使えることを夢見ていた内情を吐露するシーン。胸打たれましたね。人間くさいのですがそこが実に魅力的でカッコイイ。


鉢野在流はライトノベルがお好き!?

 痺れるねぇ~

 学べた所は、独特な倫理観。たとえば、人を殺すことや、女を犯すシーンがあっても、残虐性を強調しない。それゆえに、この漫画の世界、この時代では人殺しも強姦も、飯を食べる程度に当たり前で特に問題がないと言いたげに描かれているのがとても印象的。だから、後で考えてみるといかにヴァイキングが跋扈していた時代が恐ろしいものか、遅れて背筋が寒くなってくるそんな感覚なのです。残虐シーンやグロシーンを直接的に強調して描かなくても、その時代にそれが普遍的であったと描くとこうも狂気を孕んだものになると勉強になりましたね。

 生き残れるか? 度 ☆☆☆☆☆

 ――余こそがこのブリタニアの地を統べるべき正当な王である