2015年春夏東京コレクションまとふ(matohu)2015年春夏コレクション




まとふ(matohu)2015年春夏コレクションのテーマは素(しろ)。世界で最もたくさんの色を見分け、虫の声に秋を感じる日本人の感覚や日本の美意識を取り入れた服作りを続ける堀畑裕之と関口真希子。今シーズンは美しい白木のステージの上で、さまざまな生成りを使ったデザインをベースに、木目、レース、しわ、洗いざらしたような感覚、グラデーションなどを取り入れた服を発表した。


90年代初めにトレンドとなったフラジルを思い出させる素材感とデザインは、「尽くし」をテーマに、貝づくしなど日本料理の盛りつけのように、さまざまな物語や遊び心を隠した、たくさんの柄と色を集めた2014年春夏や、「ふきよせ」をテーマに素材のミックスと重ね着を駆使した2014/2015秋冬の反動とも言えるもの。関口の母の手によるアーティスティックで日本的なヘッドピースがショーのアクセントになっている。


海外で再び注目されている山本寛斎をはじめ、1年前の日本庭園やそこに置かれた石のようなヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)のオートクチュールやソマルタ(SOMARTA)の着物、ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の群れをなすと怖いが、一匹一匹はかわいいという日本人の隠喩ようなテーマや渋谷のスクランブル交差点を上から撮影した人が歩いている柄、クリスチャン ダダ(CHRISTIAN DADA)の暴走族の特攻服。そして、今シーズンのカルヴェン(CARVEN)、アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)、ネ・ネット(Né-net)まで、日本モチーフがトレンドとして注目される中で、0からのスタートというコムデギャルソン(COMME DES GARÇONS)的な思想を受け継ぎながら、ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)などから続く、重ね着などの日本的要素を封印した、和紙や木目のように自然の広がりを感じさせるデザインが新鮮だ。


未来的でありながら日本的でもある生成りと繊細なこだわりをあえて見せず、デザインよりも女性の美しさを強調した姿勢は、白やノームコアに対するまとふなりの回答のようにも見える。


今回のコレクションを見ていて「間(ま)」のようなものを感じた(デザイナーは意識していなかったようだ)が、日本的なモチーフではなく、あえてすべてを書かないことで空間や静寂の中に見る者の想像の余地を残したデザインは海外のデザイナーや他のデザイナーにはできないまとふならではの感覚といえるのかもしれない。






































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