ヨウジヤマモト２０１３／２０１４年秋冬コレクション
コレクション終了後には香水も披露
AT YOHJI YAMAMOTO
モードジャポネやフューチャービューティ展のパロディ？それともシュルレアリスム？ヨウジヤマモトは２０１３／２０１４年秋冬コレクションでこれまでのヨウジヤマモトでは見なかったようバランスなのコレクションを見せた。
スタートした直後にモデルのカツラを見た客席から「川久保玲？」という声が漏れた今シーズン。着ているのは糸を目立たせた山本耀司らしいデザインなのに、コムデギャルソン(COMME DES GARÇONS)がパリコレクションに登場した当時のように川久保玲自身のようなカツラをかぶっている。イッセイ・ミヤケ(ISSEY MIYAKE)や１年前のヨウジヤマモトのコレクションを思わせる繊細なプリーツは、プリーツなのにもかかわらず、現在では「幻」とも呼ばれている山本耀司や川久保玲がパリコレクションに進出した初期の作品のニットのように複雑に撚り、よじられ、穴が開いたようになっている。ヨウジヤマモトらしいアシメトリーやニットもいつもの耀司のようにロングではなくミニスカートだったり、サンローランなどかつてのオートクチュールメゾンが見せたような不思議な色の組み合わせだったり(といってもそれは歌舞伎などからヒントを得ているとも言われているが)、１年前のコレクションでも見せたボディコンシャスだったりする。また、ジャケットは耀司らしいのにパンツは白だったり、パンタロンだったり靴が隠れていたり、すべてがアンバランス。また、ジャケットのボタンが付きすぎていたりジャケットとプリーツのミニなのに組み合わせがパンタロン。しかも、グローブにはマニキュアが塗られている。１点１点のデザインやアイテムはヨウジヤマモトらしいのにトータルで見ると奇妙なバランスだ。
アンバランスで「訳のわからない」「おかしい」バランスはヨウジヤマモトが８０年代後半に熱帯植物のプリントなどを使ったコレクションでも挑戦していたもの。
クリスチャン・ディオール(CHRISTIAN DIOR)やシャネル(CHANEL)からウエディングドレスまで、権威や決まり事への異議申し立てとも言えるデザインを続けてきた山本耀司だが、今シーズンのコレクションはすでに幻や権威となり美術館に飾られてしまったモードジャポネや自分とは違うバランスをあえて使うことで次に進もうとしているのか。
あるいは１年前のコレクションでもすでにシュールレアリスムとのコラボレーションで知られるスキャパレリからインスパイアされたデザインを見せていただけに、あるはずのものがなく、ないはずのものがあるなど、日常生活で見慣れた風景をアンバランスに変えてしまうシュールレアリスムのようにヨウジヤマモトスタイルを変えようとしたのかもしれない。
ショー終了後には新しいレディースとメンズの香水のお披露目も行われた。
