イッセイミヤケ２０１３年春夏コレクション

at the spring/summer 2013 ISSEY MIYAKE fashion show

イッセイミヤケ２０１３年春夏コレクションのテーマは羽ばたく色。素材やスポーツウエア、水着、扇風機などの開発にも使われるバイオミメティックのように自然から学び、日本の技術を駆使することで、鳥の羽根やきらきら光る水面に降り立ち、羽ばたく鮮やかな羽根を持った鳥のイメージを表現した。

かつて三宅一生自身の顔がプリントされていた横尾忠則による招待状に、デザイナーの顔ではなく鳥をプリントした今シーズン。両面プリントが重なることによる新しい色、それとは対照的な光と影のような白と黒、女性の身体や動きが生み出す柄、前回話題となったスチームストレッチによる新しい服作りへのチャレンジと色やプリーツのミックス。１年前、ドリス・ヴァン・ノッテンがコラボレーションによって注目を集めた転写プリントもイッセイミヤケが進化させ続けてきたプリーツとの組み合わせでこれまでにない視覚効果を生み出している。

折り紙、プリーツ、日本の手仕事とテクノロジーの融合、機能美をアート的な感動にまで持って行く服作り、そして自然を感じさせる色などは、太陽のようなチェックやウィリアムフォーサイスとフランクフルトバレエ団も登場した８８年春夏に見せたプリーツとツイストの組み合わせによるジャンピングプリーツ、翌年のフライングソーサーやステンドグラスのようなプリーツ、藤原大時代のブラジルカラーハンティングなどを思い出させる。また、ウェブサイトによるプロセスの公開も三宅一生の発想と展開などの書籍やWOWOW、カルティエ現代美術財団で開催した展覧会イッセイミヤケメイキングシングのラボラトリーから続く、秘密を見せてしまうことによって次に進もうという伝統を受け継いだものだろう。

リアリティを強調するように１年前のデビューコレクションのようなヘッドピースが無くなるなど、
エキセントリックなアイウエアや８８年春夏のマリア・ブレスとのコラボレーションによる円や四角に切り込みを入れた未来的な帽子のような、コレクションのイメージに影響を与えるような刺激的な関連アイテムが無いことが三宅一生自身による８０年代や９０年代との違いだが、そのあたりが今後どう発展していくのかも注目される。