２０１１／２０１２年秋冬東京コレクションクールジャパン
２０１１／２０１２年秋冬東京コレクションでもっとも話題となったのは、４月２２日、TSUTAYA TOKYO ROPPONGIで開催されたミキオサカベMIKIO SAKABE２０１１／２０１２年秋冬コレクションでしょう。
今回は、通常のコレクションではなく、ミキオサカベと最前ゼロゼロとのコラボレーションによる、イベントとしてのファッションショーでしたが、特におもしろかったのは１６世紀から１９世紀のヨーロッパの歴史に登場するデザインをシュルレアリスムの画家ルネ・マグリットような手法で表現したミキオサカベのコレクションとモデルとしてファッションショーに登場し、ライブも行った秋葉原ディアステージを中心に活動するアイドルグループ「でんぱ組.inc」の対比でした。
「でんぱ組.inc」のライブとトップオタと呼ばれるファンのオタ芸。歴女などが話題となる中で、今シーズンもいくつかのブランドが、戦国時代や侍の力強さや日本的なものからインスピレーションを受けたデザインを見せましたが、「でんぱ組.inc」が身につけているヘッドドレスは村上隆のフィギアや綾波レイを思わせるもので、金色のロングブーツはアニメをそのまま形にしてしまったように足首がありません。つまり、コスプレそのままです。美しい色のドレスは偶像としてのアイドルを信じることができた１９８０年代までの古き良き時代アイドルの衣装をクチュール風に仕上げたといったところでしょうか。
理屈抜きに楽しめるものであり、「東京発 日本ファッション・ウィーク（ＪＦＷ）以前」の東京コレクションにはあったパワー、海外のコレクションではできない自由さを感じさせるものでした。
ところで、かつての浮世絵のように、漫画やフィギアなどの日本のポップカルチャーをアートにした村上隆的手法自体は、ファッションではこれまで何度も登場しています。一般も巻き込んだイベントとしてのファッションショーや有料ショーも東京ガールズコレクションのはるか以前から、山本寛斎などたくさんのデザイナーが行ってきました。
パリコレクションでは、ルイ・ヴィトンと村上隆が有名ですが、かつてティエリーミュグレー本人がガンダムなど日本のロボットアニメを思わせるデザインを発表。パリメンズコレクションではＷ＆ＬＴがバイキンマン風キャラクターを使っていましたし、真っ白のに赤い丸を付けた日の丸風全身ボディタイツを出したこともありました。以前も書きましたが、イッセイミヤケもパリメンスコレクションで村上隆とのコラボレーションを行っています。
東京コレクションでも、１９９０年代にビューティビーストの山下隆生が秋葉原の路上を歩くというコレクションを行いました。山下隆生はコレクションのインビテーションの中にコレクションのデザインを着せたフィギアを送ってきたことがありますし、独特のゴシック的なデザインとともに、コスパCOSPAとのコラボレーションによるさまざまなデザインも提案しています。
また、２０４７１１２０は雨の降る中、東京ベイサイドスクエア内ヘリポートエリアで、ハリウッド映画のように本物のヘリコプターを飛ばしたコレクションや２０００年１２月３１日大晦日の夜の２１世紀カウントダウンコレクションなど、さまざまなイベント的コレクションを開催していました。彼らのコレクションには怪獣風やロボットアニメ風の帽子や服が登場。ショーとしてのおもしろさやコスプレ風デザインのリアリティ、有料でショーを見るファンの熱狂、大阪的サービス過剰な演出などは印象的でした。
最近はクールで無駄のないスーツなどを見せているラッドミュージシャンも、かつては六本木でイベント的なショーを開催していましたが、吹き出しの中に文字の書かれていないドラえもんの漫画をプリントしたデザインを発表したショーの最後にドラえもんが登場したこともありました。
