オフコース Off Course & 小田和正 の ファンのブログ Far South Cafe'
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小田日和ファーストインプレッション - そんなことより 幸せになろう

まず始めに、ニューアルバムを聴くという行為の、自分自身における昔と今の違いに驚いている。昔はレコードの時代、新譜に針を落とし、新しい音楽を聴くという行為がなんとも新鮮な体験に思えた。若くて無知だったから、好きなミュージシャンの音楽は何も考えることなく、ありのままに素直に受け入れることができた。しかし、今、そういう心のときめきのようなものは無い。すべてを受け入れるほどナイーブでもない。新しく出たから聴いてみる、ただそれだけだ。

人生を歩み、挫折や絶望、苦労を味わいながら年を重ねてくると、出会う人間の人となりがなんとなく分かるものである。小田和正。この人はつくづく苦労とは無縁な、理想主義的な人生を送ってきた、幸福な人なんだなあと思う。現実離れした、なにか別世界の人間のようにも感じる。もちろんミュージシャンとしての苦労はあるだろうが、人間存在の根本にかかわる苦労に比べたらどうでもいいことだ。正直、年を重ねた今となっては、この人の歌はなんともセンチメンタルで甘ったるい。こんなことを思う自分は本当にファンなのだろうかとの疑問が湧くが、一応、オフコース時代からのファンとして批判的なファンがいてもいいはずだと勝手に思っている。

ここから辛辣にレビューしておく。1曲目「そんなことより 幸せになろう」。素直に聴けば応援歌、ひねくれた見方をすれば、自分のようにみんなも幸せになってという、ハッキリ言って上から目線の曲。勝ち組、負け組という言葉は好きではないが、わかりやすく言えば勝ち組の人が負け組の人に向かって無神経な言葉を投げかけているような感じと言えばいいか。幸せになれなくて皆、苦しんでいる。苦しみの中を日々、妥協しながら生きている。愛する者との死別、夫婦の不仲、離婚、病気、経済苦、子供の問題、仕事の問題・・・。「幸せになろう」と口で言うのは簡単だが、じゃどうしたら幸せになれるの?歌を聴いて幸せになれるなら、世の中どれほど簡単か。幸せになれるのは小田さんのような、ごく一握りの人間だけだ。

東日本大震災の後、「自分の歌で元気になってもらえたら」とかなんとか言って被災地を訪れるミュージシャンが後を絶たないが、どうしたらそこまで傲岸不遜になれるのか。歌で元気になど最初からなれるはずもない。被災者を利用した宣伝活動はやめて欲しい。その場で一時的に気分は高揚するかもしれないが、それもすぐに冷めてしまう。現実は何も変わらないのである。

だから、小田さんがいくら歌っても、厳しいことを言えばそれは単なる自己満足でしかない。自分の好きなことをやって、それを人に受け入れてもらう。受け入れてくれる人がいなければ成り立たない商売なのであるから、もっともっと謙虚になるべきだ。でも小田さんに限らず、ミュージシャンというものは皆、そういうものだろう。

ミュージシャンとして被災地の人たちの役に立ちたいと本気で思うなら、何もしなくていい。余計なことはするだけ野暮というものだ。ただ心の中で、被災地の人たちのことを本当に思って、祈ってくれてるだけでいいのである。

小田日和

ニューアルバム「小田日和」が届きました。

初回盤の特典、小田さんのフォトカードが一枚付いてました。

早速聴いてみようと思います。

別れの情景I

オフコース初期の名曲。スタイリスティックスの「You Are Everything」の

影響を受けていると思われる。70年代の香り漂うメロディーが好きだ。

「別れの情景I」「別れの情景II」と、同じ曲名で2曲というパターンも珍し

い。どちらも好きだが、どちらか選べと言われたら僕はIの方が好きである。


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