「リリウム図書館」の主、有角族の賢者ベラードを仲間に加えた一行は、彼が古文書から導き出した「飢餓の伝承」の地へと急行した。そこは街への物流が集中するメインストリートの地下、かつては巨大な貯水池だった廃墟だ。


「ここだ。街の心臓部に繋がる大動脈の真下……ここに『捕食者(グラトニー)』の核がある」


ベラードが角のリングを光らせると、足元の石畳が魔法陣のように浮かび上がり、隠し通路が開いた。地下へ降りると、そこには異様な光景が広がっていた。街道を走る馬車の振動を吸い取るように、巨大な「肉の根」のような触手が、地上へ届かんばかりに蠢いている。


「これだ……。こいつらが街道の振動に反応して、運ばれてくる食材の『生命力』を吸い取っていたんだ」


ルンドが魔導記録ペンを構え、震える手でその異様な光景を書き留める。


「来るわ! 精霊たちが悲鳴を上げている……!」


ラーファが杖を掲げると同時に、壁の至る所から泥の眷属たちが溢れ出した。それだけではない。中央の肉塊から、巨大な口を持つ魔物の本体が姿を現した。

 

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