この映画は観ていて「うーん」と考え込んでしまうポイントがいくつかありました。

まず、そもそもの話なんですが、鎌倉という場所と、妖怪とか死後の世界が自分の中では結びつかないんです。
鎌倉には行ったこともないし、あまり詳しくもないんですけど、「妖怪とか死後の世界の舞台が鎌倉?」と首を傾げてしまいました。
日本にはもっとそういう言い伝えみたいなのがあるところが他にもあると思うんですけどね。
もしくは、あえて場所は特定しなくても「この街にはそういう言い伝えがあって…」みたいに仕立ててもよかったんじゃないでしょうか?
鎌倉の街並みを活かしたかった、って言われるほど鎌倉が使われてる気はしませんでしたし。

それと時間配分ですね。
話のメインになるのは妻を追って夫が死後の世界に向かう部分になると思うんですけど、そこまでが長いんです。
殺人事件のくだりとか、もう少しさらっと流してくれてよかったと思うんですけどね。
しかも、走ってる電車に飛び乗るって結構無理があるトリックでしたね 笑
もっと早く死後の世界へ行って、冒険した方が子どももターゲットに取り入れることができて、もっと人気が出たんじゃないでしょうか?
あれだけのCGを使ってるから、予算の都合上、あのくらいの時間しか死後の世界のシーンができなかったのかなぁと邪推してしまいました 笑

それと、死んで妖怪になった堤真一が、怒ったら角が生えたり身体が大きくなる設定も必要だったんでしょうか?
役立ったところといえば、未亡人になった妻に近付いてきた男を脅すときぐらいでした。
どうせなら怒って身体が大きくなったら力も強くなって、堤真一も死後の世界に同行して、強いヤツと戦うみたいな流れにしてもよかったと思います。
まぁこれもCGの費用を考慮して出番を減らしたんなら仕方ないですけど 笑

そんな感じで結構気になるところがいくつかありましたが、決してつまらない映画ではありませんでした。
他の方のレビューとかを見ると、中年の作家と若妻のイチャイチャが腹立つみたいなこと書かれてましたけど、僕にはそこまでイチャイチャしているようには見えませんでした。
むしろ、互いに思いやりがあって、いい夫婦だったと思いますよ。
他にも妻が先立った老夫婦や堤真一夫婦、堺雅人の両親といろいろな夫婦が出てきて、それぞれに相手を思いやっているところが描かれていました。
この映画の裏テーマみたいなものって「夫婦愛」なんでしょうね。
恋人とか夫婦のあり方って、映画みたいなもので語られると、押し付けがましく見えて悪い印象を受けることが多いんですけど、この映画で描かれたものにはそんな悪い印象はありませんでした。

もちろん映画とかを作ったことがある立場ではないんですけど「僕だったらこういう設定にするなぁ」とか「ここのシーンをもっと短くして、ここの部分をもっと長くするけどなぁ」とか、偉そうに作り手目線で観てしまった映画でしたね 笑
でも、ところどころに夫婦の絆ってこういうものかと感じるものがあったし、登場人物の言葉や行動に心を打つものがありました。
ファンタジー映画、妖怪や死後の世界みたいなオカルト映画としてじゃなくて、人間ドラマとして観た方がいいと思います。