Mr.Childrenは20年以上前から好きで、アルバム・シングルが出るたびに買っているんですが、最近はピンとくる曲が少なくなった気がします。
前作の『重力と呼吸』もあまり印象に残らないアルバムでした。
もしタイトルを言われたときに、そのメロディを唄える曲は10曲中2〜3曲しかないくらいです。
残念ながら、今回のアルバムもそんな感じでしたね。

このアルバムで僕が好きなのは、10曲という多すぎでもなく少なすぎでもないところです。
曲数が少なければ物足りないし、多ければ聴いていてダレてしまう。
10〜12曲が僕にとってはちょうどいい曲数です。
時間も1時間超えないくらいで聴きやすいですね。
1時間何分もあるアルバムは自分にとってはちょっと長いんです。

内容ですが、率直に言うと、全曲通して聴くとメリハリがないんです。
全ての曲が同じ雰囲気の曲なんですよね。
昔は1つのアルバムの中にディストーションの効いたギターやブラスが目立つ派手でハードな曲と、ピアノやアコースティックギターがメインのもの悲しい曲が数曲ずつ収録されていました。
前者で言えば "ラヴ コネクション" "#2601" "fanfare" 、後者で言えば "手紙" "Surrender" "隔たり" みたいな。
そういう曲がこのアルバムにもあれば、"Brand new planet" "Birthday" みたいな極上ポップな曲がもっと映えたんじゃないでしょうか。
ミスチルはハードもポップもバラードもこなせるマルチタレントなバンドだと思っているので、このアルバムの平坦な感じはちょっと残念でした。

1曲ずつ関して言うと、"DANCING SHOES" みたいなどこかダークな雰囲気をまとったフォークロック、"Brand new planet" "Birthday" みたいな主題歌の映像作品を盛り上げる王道ポップは20年前から僕が好きなミスチルの曲です。
そして、歌詞は相変わらず秀逸ですね。
桜井和寿の書く歌詞には、生きることの希望が溢れる反面、妥協や失望みたいなマイナスの感情も上手く盛り込まれています。
その歌詞に共感することもあるし、そういう考え方もあるんだな、と感心することもあります。
今回のアルバムで気になったのは、"losstime" という夫を看取った老婆の余生を唄った曲があって、「そして 愛しい君をぎゅっと 抱きしめる」って一節で締められているんですけど、この "愛おしい君" とは誰のことなんだろう?って気になりました。
こういうイマジネーションを駆り立てる歌詞はいいですね。
映画ではこういう曖昧な部分はイヤなんですけどね 笑

僕はいい曲が多いからいいアルバムとは思ってなくて、アルバムとして聴くなら収録された曲の順番やバランスもこだわりたいなぁと思っています。
その点から言うと、このアルバムにはもっとハードな曲を入れて盛り上がりどころがあって欲しかったなと思いました。
このアルバムのタイトル『SOUNDTRACKS』が人生のサントラという意味なら、もっと山あり谷ありあって欲しかったな、ということです。